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トピックス
高温ガス炉における核特性予測精度の向上を目指して
−結晶性黒鉛の非弾性散乱断面積評価−
図1 非弾性散乱断面積データの評価値(JENDL-5及び本研究)と測定値(Steyrel(1974))との比較
黒鉛を減速材とする高温ガス炉を設計する上では、主に熱中性子による核分裂連鎖反応で臨界状態を維持していることから、炉心解析において、熱中性子の挙動を正確に評価することが重要です。その評価には、熱中性子と同程度のエネルギーを持つ、黒鉛結晶の低周波数の格子振動と熱中性子との相互作用を定量的に考慮する必要があります。そのための断面積データの一つに、非弾性散乱断面積データと呼ばれるものがあります。
最新の核データライブラリJENDL-5に収録されている結晶性黒鉛に対する非弾性散乱断面積データは、低エネルギー領域における測定値の再現性に課題が残っていました。そこで本研究では、詳細な分子動力学シミュレーションモデルから得られた結晶性黒鉛の炭素原子の飛跡データを用いて、非弾性散乱断面積の解析を実施しました。その結果、図1に示すような測定値を良好に再現する非弾性散乱断面積データを取得することに成功しました。
本成果は、高温ガス炉の炉心核設計精度向上への貢献が期待できます。さらに、高温ガス炉のみならず、他の黒鉛減速炉や小型加速器中性子源等に対しても応用できることから、今後、利用価値が高まるものと期待されます。
最新の核データライブラリJENDL-5に収録されている結晶性黒鉛に対する非弾性散乱断面積データは、低エネルギー領域における測定値の再現性に課題が残っていました。そこで本研究では、詳細な分子動力学シミュレーションモデルから得られた結晶性黒鉛の炭素原子の飛跡データを用いて、非弾性散乱断面積の解析を実施しました。その結果、図1に示すような測定値を良好に再現する非弾性散乱断面積データを取得することに成功しました。
本成果は、高温ガス炉の炉心核設計精度向上への貢献が期待できます。さらに、高温ガス炉のみならず、他の黒鉛減速炉や小型加速器中性子源等に対しても応用できることから、今後、利用価値が高まるものと期待されます。
謝辞
本研究は、京都大学との共同研究「高温ガス炉炉内計装用中性子検出器の開発」の成果の一部です。
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 沖田 将一朗 |
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高温ガス炉プロジェクト推進室 高温ガス炉設計グループ |
参考文献
公開日 2025年 2月 7日
高温ガス炉水素・熱利用研究