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トピックス
ヘリウム熱交換型水蒸気改質器解析モデルの開発
−原子炉の熱を利用する化学反応器を数値解析で捉える−
図1 ヘリウム熱交換型水蒸気改質器イメージ図
図2 炉外技術開発試験の測定値と評価モデルの計算値との比較
(a)水素製造時の改質器内部温度(定格時)、(b)水素製造開始時の改質器内部の温度変化を示します。
HTTR−熱利用試験では、HTTR(高温工学試験研究炉)から得られる高温熱を活用してメタン水蒸気改質反応による水素製造の実証試験を行います。原子力機構は過去にHTTR水素製造システムの炉外技術開発試験の一つとして、ヘリウム熱交換型水蒸気改質器(図1)を使用して、電気ヒータで900 ℃まで加熱したヘリウムガスと反応器の熱交換による水素製造の実証と水蒸気改質器の特性データ取得を行いました。水蒸気改質器は定められた運転条件の挙動把握だけでなく、数値解析上で再現し、大型化に向けて起動や停止、外乱を含めたプラント動特性の把握が必要です。
本開発では、ヘリウム熱交換型水蒸気改質器の熱物質収支評価モデルを構築し、水素製造時と起動時のガス組成、温度分布の解析を行い、炉外技術開発試験での取得データと比較し、モデルの妥当性の検証を行いました。
構築した評価モデルによる水素製造時の水蒸気改質器内部温度と出口ガス組成の計算結果は、実験結果と高い精度で一致しました(図2)。また、水素製造開始時の内部温度の変化と水素製造量は、実試験データと同様の挙動が確認されました。
これらの結果は、水蒸気改質器の水素製造時の挙動の把握や、HTTR−熱利用試験での運転条件の選定、水蒸気改質器の大型化に活用していきます。今後、評価モデル改良として、制御の時間遅れの考慮や水蒸気改質器出入口構造部の熱伝達の影響評価の反映を進めていきます。
本開発では、ヘリウム熱交換型水蒸気改質器の熱物質収支評価モデルを構築し、水素製造時と起動時のガス組成、温度分布の解析を行い、炉外技術開発試験での取得データと比較し、モデルの妥当性の検証を行いました。
構築した評価モデルによる水素製造時の水蒸気改質器内部温度と出口ガス組成の計算結果は、実験結果と高い精度で一致しました(図2)。また、水素製造開始時の内部温度の変化と水素製造量は、実試験データと同様の挙動が確認されました。
これらの結果は、水蒸気改質器の水素製造時の挙動の把握や、HTTR−熱利用試験での運転条件の選定、水蒸気改質器の大型化に活用していきます。今後、評価モデル改良として、制御の時間遅れの考慮や水蒸気改質器出入口構造部の熱伝達の影響評価の反映を進めていきます。
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 石井 克典 |
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エネルギー研究開発領域 高温ガス炉プロジェクト推進室 高温ガス炉水素利用推進グループ |
参考文献
公開日 2025年 3月 31日
高温ガス炉水素・熱利用研究