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トピックス
HTTRヘリウム循環機のフィルタ差圧上昇防止策
−フィルタ差圧上昇に寄与した微粒子を特定−
図1 ヘリウム循環機フィルタ表面の微粒子(左)及びその元素分析結果(右)
ヘリウム循環機フィルタ表面には微粒子がまんべんなく付着していました。それらの一部を分析した結果、シリコンオイルと同じくけい素を主成分とすることが分かりました。
図2 シリコンオイルの炉心への侵入機構と対策
シリコンオイルは、ピストン下に流れたヘリウムが当該ガス循環機下部へ漏れることを防止しています。通常、ピストンロッドに沿って流出したシリコンオイルは、活性炭フィルタによって除去されます。しかし、赤点線枠で示す箇所にシリコンオイルが発見され、活性炭フィルタの除去性能の劣化とシリコンオイルの炉心への侵入が判明したため、活性炭フィルタの交換頻度を見直すことにしました。
高温ガス炉では炉心に黒鉛構造物を使用しており、その微粒子による原子炉システムへの影響が懸念されています。この懸念事項への対策も含めて、HTTR(高温工学試験研究炉)では、ヘリウム循環機にフィルタを設置し、ヘリウム冷却材中の微粒子を捕集しています。過去にフィルタ差圧が上昇し、その原因が黒鉛構造物の微粒子ではなく、1次ヘリウム純化設備ガス循環機(当該GC)の摺動部で生じた微粒子であると分かっています*。摺動部の改良により、フィルタ差圧は正常値を維持していましたが、2021年の運転中に再度上昇したため本研究ではその原因を調査しました。
フィルタ表面の微粒子を分析した結果、けい素を検出しました(図1)。事前調査でも、当該GCで用いるシリコンオイルの炉心への侵入痕跡を確認しています(図2)。したがって、シリコンオイルがフィルタ差圧上昇に寄与し、けい素の発生源であることが分かりました。シリコンオイルの侵入原因は、当該GC内部の活性炭フィルタの劣化と判明したため、所定の期間ごとに交換することとしました。
フィルタ差圧はシリコンオイルにより上昇しており、HTTRのようなブロック型高温ガス炉では黒鉛構造物の微粒子がほとんど発生しないことを示唆します。過去の事象を踏まえても、当該GCがフィルタ差圧上昇に寄与する微粒子の発生源と考えられます。活性炭フィルタの交換頻度を見直すことで、当該GCから生じる微粒子の根絶が期待できます。
フィルタ表面の微粒子を分析した結果、けい素を検出しました(図1)。事前調査でも、当該GCで用いるシリコンオイルの炉心への侵入痕跡を確認しています(図2)。したがって、シリコンオイルがフィルタ差圧上昇に寄与し、けい素の発生源であることが分かりました。シリコンオイルの侵入原因は、当該GC内部の活性炭フィルタの劣化と判明したため、所定の期間ごとに交換することとしました。
フィルタ差圧はシリコンオイルにより上昇しており、HTTRのようなブロック型高温ガス炉では黒鉛構造物の微粒子がほとんど発生しないことを示唆します。過去の事象を踏まえても、当該GCがフィルタ差圧上昇に寄与する微粒子の発生源と考えられます。活性炭フィルタの交換頻度を見直すことで、当該GCから生じる微粒子の根絶が期待できます。
* Inaba, Y. et al., Investigation on Dust Captured by Quintuple Filters Installed Upstream of Primary Gas Circulators in HTTR, Journal of Nuclear Science and Technology, vol.51, issues 11–12, 2014, p.1373–1386.
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 長谷川 俊成 |
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大洗原子力工学研究所 高温工学試験研究炉部 HTTR技術課 |
参考文献
公開日 2025年 3月 10日
高温ガス炉水素・熱利用研究