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地層中の割れ目がずれると割れ目内の隙間(地下水の通り道)はつながるか?
−隙間のつながり具合を現場で簡単に調べる試験手法を開発−
図1 本研究のイメージ図
地層処分では、地層中の割れ目は地下水の通り道になる可能性があることから、割れ目内の隙間の大きさや隙間のつながり具合を把握することが重要となります。また、地層処分のような長期間の時間スケールでは、現在の割れ目の状態だけではなく、地殻変動に伴う割れ目のずれなどの将来的に想定される現象に対する影響を把握することも重要になります。これまでに、幌延深地層研究センターは、簡易的な方法で、ボーリング孔に交差する地下の割れ目を人為的にずらす試験方法を開発し、割れ目のずれが隙間の大きさに与える影響を容易に調べることを可能としました。本研究では、その試験方法を活用して、割れ目のずれが隙間のつながり具合に与える影響についても調べることができないかを、幌延深地層研究センターの堆積岩の割れ目を対象にした現場での試験を通じて検討しました。その結果、割れ目がずれても隙間のつながり具合は変化しないまま、すなわち、地層の透水性には影響せず水は流れにくいままであるといった現象を捉えることに成功しました。
本研究で開発した試験手法と割れ目の隙間の大きさを調べる試験とを合わせることで、将来的な地殻変動に伴う割れ目のずれを考慮した地層の閉じ込め性能をより正確に推定することが可能となりました。
今回の成果は、地層処分における地層の長期的な閉じ込め性能の評価のみならず、CO2地中貯留において貯留層の閉塞性を評価する際にも活用されることが期待されます。
本研究で開発した試験手法と割れ目の隙間の大きさを調べる試験とを合わせることで、将来的な地殻変動に伴う割れ目のずれを考慮した地層の閉じ込め性能をより正確に推定することが可能となりました。
今回の成果は、地層処分における地層の長期的な閉じ込め性能の評価のみならず、CO2地中貯留において貯留層の閉塞性を評価する際にも活用されることが期待されます。
著者(研究者)情報
著者(研究者)氏名 | 大野 宏和 | |
幌延深地層研究センター 堆積岩工学技術開発グループ |
参考文献
公開日 2024年 10月 10日
地層処分技術に関する研究開発