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トピックス
甲状腺測定のスクリーニングレベル見直し方法の検討
−原子力災害時における甲状腺測定の実行性向上を目指して−
図1 甲状腺測定のスクリーニングレベル(SL)と測定実施期間との関係
(甲状腺等価線量100 mSvに相当する131I(物理半減期:約8日)を急性吸入摂取した住民を想定)
原子力災害時には放射線ヨウ素が放出される可能性があり、原子力施設周辺の住民に対して、ヨウ素が蓄積する甲状腺中の放射能測定(甲状腺測定)が行われます。初期の甲状腺測定では、より多く被ばくした者を特定する、スクリーニングを目的とした測定がNaI(Tl)サーベイメータを用いて行われます。その測定実施期間は放射性物質の放出後3週間以内が目安とされ、スクリーニングレベル(SL)として0.20 µSv/hが設定されています。
しかし、原子力災害の状況によって、測定実施期間を変更せざるを得ない事態になることも想定されます。ここで、放射性ヨウ素の核種や化学形、摂取経路により測定対象者の体内での動態等は異なり、甲状腺中の放射性ヨウ素の残留時間が変化します。そのため、測定実施期間変更の際には、これら条件を加味した上で適切にSLを見直す必要があります。
本研究では、いくつかの原子力災害の状況を想定し、甲状腺測定におけるSLと測定実施期間との関係を年齢毎に計算しました。図に示した計算結果例のように、全年齢区分において、測定実施期間が長くなるに従い、SLを引き下げる必要があることが分かります。例えば、深刻な原子力災害が発生し、測定対象者数が多くなり測定実施期間を30日に延長せざるを得ない事態となった場合、測定対象者の年齢ごとに、検出下限値〜おおよそ0.10 µSv/hの範囲で、SLを引き下げる必要があります。
本研究の成果は、適切な甲状腺測定の意思決定のための技術情報としての活用が期待されます。
しかし、原子力災害の状況によって、測定実施期間を変更せざるを得ない事態になることも想定されます。ここで、放射性ヨウ素の核種や化学形、摂取経路により測定対象者の体内での動態等は異なり、甲状腺中の放射性ヨウ素の残留時間が変化します。そのため、測定実施期間変更の際には、これら条件を加味した上で適切にSLを見直す必要があります。
本研究では、いくつかの原子力災害の状況を想定し、甲状腺測定におけるSLと測定実施期間との関係を年齢毎に計算しました。図に示した計算結果例のように、全年齢区分において、測定実施期間が長くなるに従い、SLを引き下げる必要があることが分かります。例えば、深刻な原子力災害が発生し、測定対象者数が多くなり測定実施期間を30日に延長せざるを得ない事態となった場合、測定対象者の年齢ごとに、検出下限値〜おおよそ0.10 µSv/hの範囲で、SLを引き下げる必要があります。
本研究の成果は、適切な甲状腺測定の意思決定のための技術情報としての活用が期待されます。
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 外間 智規 |
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原子力安全・防災研究所 原子力緊急時支援・研修センター モニタリング技術開発グループ |
参考文献
論文PDF: JAEA-Research-2023-010.pdf
公開日 2025年 3月 31日
安全研究・防災支援