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機械学習がMOX燃料の最適な製造プロセスを予測
図1 機械学習モデルで予測した異なる粉末の焼結時の相対密度変化(a)温度依存性(b)熱処理時間依存性
(a)は相対密度に及ぼす熱処理温度の違いを表しており、(b)は(a)で予測された最も密度が高くなる熱処理温度(1700 ℃)において熱処理時間を変えた場合の相対密度変化を表しています。この結果から、予備試験等に頼ることなく、粉末1よりも粉末2が焼結時に相対密度の上昇速度が速いこと、1700 ℃で1時間以上の熱処理をした場合、相対密度に大きな差がないことが分かりました。粉末1と粉末2は同じプルトニウム濃度ですが、粉末の原料、形状及びサイズに大きな差があります。
次世代の原子炉として開発が進められている高速炉では、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)が燃料として使用されます。MOX燃料の製造プロセスには多くの工程があり、それらのパラメータは複雑に関わります。そのため、最適な製造条件は、高度な専門的知識を持つ技術者・研究者が過去の知見をベースにパラメータの事前検討をした後、実験結果を評価して決定します。また、MOXはグローブボックスと呼ばれる気密性の高い容器内で取り扱う必要があるため、燃料製造設備へのアクセスは制限され、製造工程のデータ取得には限界があります。これらのことから、最適な製造条件の決定には長い期間とコストがかかります。
本研究では、既存の燃料製造データをデータベース化し、原料粉末の種類や製造パラメータと主要な燃料仕様である相対密度の関係を機械学習することによって、最適な製造プロセスを予測するモデルを導出しました。本モデルは、他の研究で報告されているモデルに比べても高い予測精度を持っており、実用化が可能なレベルです。このモデルを用いると、例えば性質の異なる粉末を使用して同じパラメータ(熱処理温度と時間)で製造した場合の相対密度変化が予測できます(図1)。この予測モデルによって、製造時の様々なパラメータを予備試験なしで、また高度な専門的知識なしで迅速に決定することが可能となります。
本研究では、既存の燃料製造データをデータベース化し、原料粉末の種類や製造パラメータと主要な燃料仕様である相対密度の関係を機械学習することによって、最適な製造プロセスを予測するモデルを導出しました。本モデルは、他の研究で報告されているモデルに比べても高い予測精度を持っており、実用化が可能なレベルです。このモデルを用いると、例えば性質の異なる粉末を使用して同じパラメータ(熱処理温度と時間)で製造した場合の相対密度変化が予測できます(図1)。この予測モデルによって、製造時の様々なパラメータを予備試験なしで、また高度な専門的知識なしで迅速に決定することが可能となります。
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 渡部 雅 |
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大洗原子力工学研究所 戦略推進部 プラント技術イノベーション推進グループ |
参考文献
公開日 2025年 2月 7日
高速炉研究開発