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トピックス
高速炉のより良い遮蔽設計に向けて
−炉心支持板の中性子照射量の解析精度を「もんじゅ」試験データで確認−
図1 Ni-58 (n, p)反応率と再現解析の精度
中央の図に示すように、本研究により2007年評価における解析値と測定値との差が改善しました。また、炉心支持板近傍の解析精度は炉心部に比べ、核データライブラリ(JENDL-4.0、JEFF-3.3)に大きく依存することも分かりました。
炉心支持板は高速炉の燃料集合体を支える鋼鉄製の構造物ですが、原子炉運転中は中性子(特に0.1 MeV以上の高速中性子)の照射損傷により劣化するため、炉心支持板の高速中性子照射量を精度良く予測することが重要です。
高速増殖原型炉「もんじゅ」では、様々な物質と中性子の反応率が箔放射化法により測定されています。そのうち、ニッケル箔の反応率はNi-58 (n, p) Co-58の反応によるものであり、高速中性子に感度があります。試験を再現した解析値と測定値を比較することにより、高速中性子照射量の解析精度評価に活用できます。
高速中性子束は炉心で発生してから炉心支持板に到達する間に4桁以上減衰します。直近(2007年)の評価では測定値との差が炉心内に比べて大きく現れており、減衰の評価精度に課題がありました。評価精度改善には燃料集合体の解析モデルの精緻化が有効ですが、体系全体を精緻にモデル化することは現在の計算機の性能でも困難です。そこで本研究では、モデル精緻化の効果を燃料集合体内の構成要素ごとに評価、分析し、中性子の減衰を正確かつ合理的に評価できるモデルを構築しました。その結果、炉心支持板近傍を含めて良好な精度で解析することができました(図1)。
本研究で得られた知見は、高速炉の遮蔽設計の高度化に活用されることが期待されます。
高速増殖原型炉「もんじゅ」では、様々な物質と中性子の反応率が箔放射化法により測定されています。そのうち、ニッケル箔の反応率はNi-58 (n, p) Co-58の反応によるものであり、高速中性子に感度があります。試験を再現した解析値と測定値を比較することにより、高速中性子照射量の解析精度評価に活用できます。
高速中性子束は炉心で発生してから炉心支持板に到達する間に4桁以上減衰します。直近(2007年)の評価では測定値との差が炉心内に比べて大きく現れており、減衰の評価精度に課題がありました。評価精度改善には燃料集合体の解析モデルの精緻化が有効ですが、体系全体を精緻にモデル化することは現在の計算機の性能でも困難です。そこで本研究では、モデル精緻化の効果を燃料集合体内の構成要素ごとに評価、分析し、中性子の減衰を正確かつ合理的に評価できるモデルを構築しました。その結果、炉心支持板近傍を含めて良好な精度で解析することができました(図1)。
本研究で得られた知見は、高速炉の遮蔽設計の高度化に活用されることが期待されます。
著者(研究者)情報
![]() | 著者(研究者)氏名 | 毛利 哲也 |
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大洗原子力工学研究所 高速炉研究開発部 ナレッジ統合グループ |
参考文献
公開日 2025年 3月 31日
高速炉研究開発