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大規模原子力シミュレーションのIn-Situ可視化・制御技術の開発
図1 In-Situ制御の概要
可視化処理、時間情報と3次元空間情報の観察、そして計算条件制御のループによりシミュレーションを設計、最適化や逆問題に役立てます。
図2 In-Situ制御用の可視化画面
計算データの3次元空間情報を表示する空間領域ビュー、時間情報を表示する時間領域ビュー、そして計算条件を制御するためのユーザインタフェース(UI)を示します。
原子力分野では非常に大規模なシミュレーションが実施され、スーパーコンピュータ(スパコン)の進化により実時間での計算も可能になっています。これを設計変数の探索や計測値から現実を再構成する逆問題解析に活用するために、計算データを可視化し、時空間の挙動を把握し、計算条件を制御するIn-Situ(その場)制御技術(図1)が重要です。
従来手法は計算データの全領域を多角形の可視化要素に変換するため、可視化処理に数時間以上必要でした。そして、スパコン上の計算を中断してから計算条件を変更し再開するために数日が必要でした。
本研究では可視化に必要な領域にのみ可視化用粒子を生成する粒子ベース可視化を利用して可視化処理を数秒にまで高速化しました。また、ストレージ上のファイルを介してスパコンとユーザPCを通信することで、計算を中断することなく対話的に計算条件を制御する技術を開発しました。そして、これらの技術を統合して、空間情報と時間情報を可視化し、計算条件を対話的に変更できるGUIを開発しました(図2)。この技術を機構スパコンSGI8600上の汚染物質拡散シミュレーションに適用し、観測点での汚染物質濃度を再現する逆問題解析に成功しました。
この成果により可視化情報学会第35期論文賞を受賞しました。
謝辞
本研究は、JSPS科研費(JP20K11844)基盤研究(C)「大規模分散GPGPUシミュレーションの対話的In-Situ可視化」の助成を受けて行われました。
著者(研究者)情報
著者(研究者)氏名 | 河村 拓馬 | |
システム計算科学センター HPC・DX基盤技術開発室 |
参考文献
公開日 2024年 11月 29日
システム計算科学研究