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公開日付: 2024年 9月 26日

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1F原子炉建屋内の放射能汚染を3次元的に“見える化”
-見えない放射能汚染を可視化して1F建屋内の環境改善に貢献-

図1 1F1号機原子炉建屋内における高濃度放射能汚染箇所(a)と線量率(b)を可視化した建屋内3次元モデル

図1 1F1号機原子炉建屋内における高濃度放射能汚染箇所(a)と線量率(b)を可視化した建屋内3次元モデル

実証試験では、iRISを搭載したメカナムホイールロボットを1号機原子炉建屋内に投入し、遠隔にて測定を行いました。SLAM機器で取得した建屋内の3次元モデル上に、コンプトンカメラ(放射性物質可視化カメラの一種)で可視化した放射能汚染のイメージ(a)と、サーベイメータで取得した線量率情報(b)をカラー表示しました。

Sato, Y. et al., Detailed Visualization of Radioactive Hotspots Inside the Unit 1 Reactor Building of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Using an integrated Radiation Imaging System Mounted on a Mecanum Wheel Robot, Journal of Nuclear Science and Technology, vol.61, issue 7, 2024, p.856–870.(Figure 11を一部改変して転載)

東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故から 13年と半年の歳月が経過しましたが、1F建屋内には作業者の立入りや長時間作業が困難な高線量率エリアが残されています。この作業現場において放射能汚染の分布を把握することは、作業者の被ばく低減や作業計画の立案を進める上で極めて重要です。

そこで原子力機構では、作業環境の放射能汚染分布を3次元的に可視化する統合型放射線イメージングシステム[iRIS (アイリス) : integrated Radiation Imaging System]を考案し、実証試験を進めています *。

図1は、東京電力HDと共同で実施した1F1号機原子炉建屋内における実証試験の結果です。建屋内は線量率が高く、作業者の進入が難しいエリアのため、コンプトンカメラ、SLAM機器及びサーベイメータから構成されるiRISをメカナムホイールロボットに搭載し、遠隔にて調査を行いました。その結果、天井配管に高濃度放射能汚染を見いだすとともに((a)赤色部分)、その直下にて線量率が急上昇していることを確認しました((b)赤色部分)。このように遠隔にて1F建屋内の高線量率エリアの調査を実施可能なiRISを用いて、今後、未調査エリアの調査を通じて建屋内の環境改善に貢献していきます。

* 原子力機構, 廃炉現場の汚染分布を3次元マップで“見える化” ―見えない汚染を仮想空間で把握し、作業員の被ばくを低減―, 令和3年5月14日プレス発表
謝辞

本研究は、東京電力ホールディングス株式会社との共同研究「分析機器類の廃炉現場環境における性能実証に関する研究」として実施されました。

著者情報
参考文献
Sato, Y. et al., Detailed Visualization of Radioactive Hotspots Inside the Unit 1 Reactor Building of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Using an integrated Radiation Imaging System Mounted on a Mecanum Wheel Robot, Journal of Nuclear Science and Technology, vol.61, issue 7, 2024, p.856–870.
外部論文: https://doi.org/10.1080/00223131.2023.2282551

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