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廃炉作業空間モデリングのための写真測量計算負荷の軽減
−画像シーケンスから逐次生成される立体モデル統合手法−
図1 部分立体モデル統合による全体モデル生成手法の概要と計算結果例(実験用計算機のスペック
CPU: Intel Xeon® Gold 5222 CPU 4 cores (3.8 GHz), Memory: 96 GB, OS: Ubuntu 20.04 LTS)
廃炉作業を安全かつ着実に進めるためには、事前調査によって作業対象環境の状況を把握して作業計画を立案することが重要です。このため私たちは作業対象空間内の状況を把握するために、画像から作業対象空間の構造や形状を立体モデルとして復元する写真測量手法の研究開発に取り組んでいます。作業対象空間をより詳細に把握するためにはより多くの画像が必要ですが、計算処理対象とする画像枚数の増加にしたがって計算処理負荷も増大します。
本研究では、これを軽減するために、時系列画像を少数枚画像による部分画像列群に分割し、それぞれの部分画像列から生成される部分立体モデルの統合により全体モデルを効率的に生成する手法を開発しました(図1)。部分立体モデルはそれぞれ異なるスケール・位置・姿勢で生成されることから、写真測量による計算の際に推定されるカメラ軌道情報を活用して、部分立体モデル間調整により統合するアルゴリズムを導入しました。本手法を適用した場合と全画像を一括処理した場合について比較実験(撮影エリア10 m×10 m×2 m、総枚数705枚、50,100,150,200枚で部分画像列に分割実施)を行ったところ、同等のクオリティのモデルが短時間(今回の実験例で最大約74 %の時間削減)で得られることが確認されました。今後は、開発した手法を遠隔操作時の空間認識支援コンテンツ生成に応用していくことを検討しています。
本研究では、これを軽減するために、時系列画像を少数枚画像による部分画像列群に分割し、それぞれの部分画像列から生成される部分立体モデルの統合により全体モデルを効率的に生成する手法を開発しました(図1)。部分立体モデルはそれぞれ異なるスケール・位置・姿勢で生成されることから、写真測量による計算の際に推定されるカメラ軌道情報を活用して、部分立体モデル間調整により統合するアルゴリズムを導入しました。本手法を適用した場合と全画像を一括処理した場合について比較実験(撮影エリア10 m×10 m×2 m、総枚数705枚、50,100,150,200枚で部分画像列に分割実施)を行ったところ、同等のクオリティのモデルが短時間(今回の実験例で最大約74 %の時間削減)で得られることが確認されました。今後は、開発した手法を遠隔操作時の空間認識支援コンテンツ生成に応用していくことを検討しています。
謝辞
本研究は、JAEA英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(JPJA19H19210047)「燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成」の助成を受けたものです。
著者(研究者)情報
著者(研究者)氏名 | 川端 邦明 | |
福島廃炉安全工学研究所 廃炉環境国際共同研究センター 放射線デジタルグループ |
参考文献
公開日 2024年 11月 20日
福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発(廃止措置に向けた研究開発)