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| 原子炉圧力容器を構成する鋼材は、供用期間中に炉心からの中性子が当たることにより、ナノメートル(nm)オーダーの小さな照射欠陥クラスターが数多くできて硬くなります。硬くなる程度が大きいと、容器の健全性に影響を与えることになるため、中性子照射を受けるとどの程度硬くなるかを高精度に予測できることが大事です。 これまで照射硬化の予測では、照射量として1 MeV以上の高速中性子がどれだけ当たったかを考え、ガンマ線の寄与は考慮されておりません。実際、原子炉でのガンマ線による原子のはじき出し損傷量(dpa)を計算すると、高速中性子の高々数パーセントにすぎません。ところが、dpaで数%であっても、ガンマ線によるはじき出しは、主にコンプトン電子によって生じるため、はじき出しの機構から考えると、高速中性子に比べより効率よく照射欠陥クラスターを生成する可能性が考えられます。そこで、実験的にガンマ線の寄与を検討するために、モデル合金を用い、ガンマ線照射を模擬した電子線照射と、材料試験炉での中性子照射を行い、照射硬化の程度を検討しました。 図1-6 は2種類のFe-Cu合金に電子線と中性子を照射し、照射後の硬化量を、dpaを基準に比較したものです。合金双方について、電子線照射と中性子照射による硬化量がほぼ一致しており、照射硬化はdpaを基準として評価してよいこと、すなわち、ガンマ線の硬さへの寄与は中性子の高々数%であることが明らかになりました。 |
| ●参考文献
T. Tobita et al., Hardening of Fe-Cu Alloys at Elevated Temperatures by Electron and Neutron Irradiations, J. Nucl. Mater., 299, 267 (2001). |
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