1.4 シビアアクシデント時の原子炉配管高温破損を予測する
 


図1-7  配管高温負荷試験(15 MPa加圧の例)

配管を加圧したまま加熱し、高温部の変形・破損過程を調べました。膨張・減肉部に亀裂が生じて、加圧ガスが吹き出します。


図1-8  配管破損時刻予測法の予測精度

種々の材料と形状の原子炉用配管を用いて行った配管高温負荷試験での、配管の破損時刻を高精度に予測します。


図1-9  シビアアクシデント解析コードによる配管の破損予測

加圧水型原子炉(PWR)では、種々の配管の中で加圧器接続配管がまっ先に破損し、蒸気発生器の伝熱管が破損して放射性物質が環境に抜け出る可能性は低いことがわかりました。加圧器接続配管が破損しても、放射性物質は格納容器に留まります。



軽水炉で、万一、炉心が溶けるような事故(シビアアクシデント)が発生すると、炉心から高温の過熱蒸気やガスが、崩壊熱を出す放射性物質とともに原子炉の一次冷却系配管に流れ出します。このとき、配管は設計最高温度(約360℃)よりはるかに高温に加熱されて強度が低下する部分があるため、一次系が高圧の状態が続くと、内圧で破損する可能性があります。事故の進展と放射性物質の移行挙動は、配管の破損位置と時刻に依存するため、シビアアクシデントの影響評価のためには、それらを高精度で予測する手法が必要です。ところが、そもそも1,000℃近い高温での配管の変形・破損に関するデータは、ほとんどありませんでした。
そこで私たちは、配管信頼性実証試験において、種々の原子炉配管用部材の高温クリープ試験を行い、部材毎にクリープ歪みとクリープ破損に関する1組の構成式を得るとともに、原子炉用配管を用いた配管高温負荷試験(図1-7)を行って、高温・高圧(< 約1,000℃、< 約15 MPa)条件での配管の変形・破損挙動を調べました。次に、クリープ歪み構成式を用いた配管変形の三次元弾塑性クリープ解析と、クリープ破損構成式を組み合わせることで配管破損時刻予測法を開発し、その予測精度を検証しました(図1-8)。
本予測法は、シビアアクシデント解析コードに組み込むことで、事故の進展予測と影響評価を可能とし(図1-9)、事故時の時間的裕度を見極める上でも大変有用です。



参考文献
E. Chino et al., Creep Failure of Reactor Cooling System Piping of Nuclear Power Plant under Severe Accident Conditions, Proc. of the 7th International Conference on Creep and Fatigue at Elevated Temperatures (CREEP7), Jun. 3-8, 2001, Tsukuba, Japan,107 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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