1.6 処分後数百万年にわたる安全性を予測する
―放射性核種の岩石内拡散―
 


図1-12  緻密に見える花崗岩(図上)の中にも、1万分の1ミリ程度の幅のすき間(粒界)があり、地下水中の物質を吸収します(図右上:染料を吸収した花崗岩)。この効果により、岩盤中の亀裂内を移流する放射性核種は、岩盤内へ拡散し吸収されていきます(図下:岩盤内物質移行の模式図)。


図1-13  花崗岩に放射性核種が吸収される速さ(有効拡散係数)を実験的に測定しました。緑で示したのは、放射性核種が岩石内のすき間を満たす水の中を拡散(細孔拡散)する場合の拡散係数です。物質によっては鉱物表面に吸着された状態で拡散(表面拡散)できるため、赤で示したような高い拡散係数を持つ場合があることがわかりました。


非常に長い年月の間には放射性核種は処分場から漏洩し、処分場をとりまく岩盤の亀裂中を流れる地下水によって移動(移流)すると想定されます(図1-12)。このとき、放射性核種は岩盤中へ浸入(拡散)し、鉱物表面へ吸着されます。この働きにより、たとえ放射性核種が処分場から漏洩しても、私たちの生活圏まで到達する放射性核種の濃度は低く抑えられることになります。
亀裂を含まない岩石試料内における放射性核種の動きを実験的に調べ、その挙動にフィックの法則が適用できることを明らかにしました。得られた拡散係数から、例えばプルトニウムが百万年間に岩盤内を拡散する距離は約5 mと予想できます。放射性核種は岩石内のすき間を満たす水の中を拡散(細孔拡散)しますが、物質によっては鉱物表面に吸着された状態で表面を拡散(表面拡散)することがわかりました(図1-13)。このような知見が、放射性廃棄物地層処分の安全性を長期にわたって評価する際に用いられます。



参考文献
T. Yamaguchi et al., Diffusivity of U, Pu and Am Carbonate Complexes in a Granite from Inada, Ibaraki, Japan Studied by through Diffusion, J. Contaminant Hydrology, 35, 55 (1998).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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