2.1 低減速スペクトル炉炉心の狭い流路での除熱性能評価を確かなものにする
 


図2-1  試験装置断面図

実験条件は、圧力;15.5 MPa、単位面積当たりの流量;1,000〜4,400 kg/m2・s、入口温度;240〜320 ℃で実施しました。


図2-2  流路断面図

7本のヒータロッドの間隙gを1.5、1.0および0.6 mmに変更した実験を実施しました。


図2-3  限界熱流束の実験データと解析結果の比較

計算結果が実験値より小さい値を与えることが示されています。このことは、解析コードは除熱性能を実際より低く見積もるため限界まで余裕のある安全な設計ができることを意味します。



原研では、ウラン資源を有効利用できる低減速スペクトル炉の設計研究を行っています。この原子炉では、中性子のエネルギーを低下させずに核分裂を起こさせます。そのために、燃料棒の間隔を狭くして冷却を行う水の体積を減らしています。このような原子炉の成立性を評価する際に、冷却性能の評価が重要になります。ところが、現在炉心設計で必要とされている燃料棒間隔の狭い状態での除熱性能を評価するためのデータベースが十分ではありません。
そこで、炉心を模擬したテスト部を製作して、実際の原子炉(PWR)と同じ流動条件でどの程度除熱が可能かを測定する実験を実施しました。テスト部の断面を図2-1および図2-2に示します。流路内に燃料棒を模擬する電気ヒータを7本設置し、それらの間隙を1 mm前後で変更して実験を行いました。実験パラメータは、原子炉と同じ圧力で、流量や流体温度を変更しました。実験で得られたデータを、現在設計に用いられている解析コードと比較することにより、解析コードが実際の除熱性能をどの程度に評価するかを示したのが図2-3です。ここに示されているように、解析コードは実験データより小さい除熱しかできないという結果を与えるため、この解析コードで計算すれば十分に安全側の設計ができることがわかりました。今後、低減速BWR条件下でのデータを取得する計画です。



参考文献
T. Okubo et al., Critical Heat Flux for Tight-Lattice Rod Bundle, Int. Workshop on Current Status and Future Directions in Boiling Heat Transfer and Two-Phase Flow, Oct. 5-6, 2000, Kansai Univ., 177 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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