2.2 原子炉容器内の高温高圧水中で作動可能な制御棒駆動装置の開発
 


図2-4  原子炉容器内装型制御棒駆動装置の概念

制御棒駆動装置を原子炉容器内に設置することにより、原子炉の安全性向上および小型化、簡素化を図ることができます。


図2-5  ラッチ機構の作動原理

マグネットコイルを励磁すると分割ボールナットが閉じて駆動軸をつかみます。この状態で、駆動モータを回転させると駆動軸を上下させることができます(常駆動)。マグネットコイルを消磁すると、分割ボールナットが開いて軸が切り離され、駆動軸が落下します(スクラム)。



改良舶用炉MRXは、いくつかの革新的な技術を採用しており、その中の一つとして原子炉の安全性を向上するために制御棒飛び出しによる反応度事故の可能性を排除することのできる「原子炉容器内装型制御棒駆動装置」(図2-4)があります。本装置を採用することにより、原子炉システムの小型化・簡素化を図り、経済性および信頼性向上にも役立てることができます。しかしながら、この装置は、現行の発電用軽水炉と異なり原子炉容器内に設置するため、原子炉一次水の高温高圧水中という過酷な環境下で安定的に作動しなければなりません。
これまで原子炉容器内で作動できる制御棒駆動装置としては、水圧駆動方式のものが検討されていますが、負荷追従が容易で微調整可能な電動駆動方式のものは、原研による今回の開発が初めてのものです。駆動モータ、ラッチ機構(図2-5)、軸受および位置検出器等について、高温水中下で使用した実績はこれまでほとんどありませんでした。開発にあたって高温高圧条件下で使用可能な材料の選定、試作および特性試験を実施しました。さらに、各部の要素を組み合わせた実寸法の試験装置による機能試験および耐久性試験を実施し、設計条件を満足することを確認しました。これにより、微調整可能で負荷追従対応の電動駆動式の内装型制御棒駆動装置を世界に先がけて開発することに成功しました。この成果は改良舶用炉のみならず、次世代型発電用軽水炉や革新的小型炉にも利用可能です。



参考文献
T. Ishida et al., Development of In-Vessel Type Control Rod Driving Mechanism for Marine Reactor, J. Nucl. Sci. Technol., 38 (7), 557 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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