2.5 原子炉圧力容器の超音波探傷装置、自動化に成功
 


図2-11  走行方式の比較

従来装置は、ラック&ピニオン方式により固定軌道上を走行していました。新しい装置では、磁気クローラによってRPV表面に吸着しながら走行するようにしました。また、レーザセンサによって、識別レールを自動検知し、識別レールに沿って自動走行する構造となっています。


図2-12  探傷回数の比較

従来装置では、3チャンネルの探触子(垂直探触子1チャンネル+斜角探触子2チャンネル)により溶接線を4回探傷していました。新しい装置では探触子を多チャンネル化して、溶接線当たりの探傷回数を減らし、探傷時間の短縮を可能としました。



原子力発電所では、原子炉施設における機器・設備の品質と性能が、供用期間中を通じて維持されていることを確認するために、日本電気協会の電気技術規程JEACに基づいて供用期間中検査(ISI)が行われています。高温工学試験研究炉(HTTR)の原子炉圧力容器(RPV)においても、これに準拠してISI検査のひとつである溶接部の超音波探傷試験(UT)を実施しています。
RPVのISIは放射線下で行われるため、作業員の被ばく低減の観点から遠隔自動装置が導入されています。沸騰水型原子炉の自動UT装置は、RPV周囲にあらかじめ設置されている固定軌道をUT装置が走行する方法を採用しています。また、超音波探触子は3チャンネルで構成されており、同じ溶接線に対して複数回の探傷を必要としていました。
HTTRでは、設備の合理化と探傷時間の短縮可能なUT装置を開発しました。この装置は磁気クローラでRPV表面に吸着して走行するもので、走行用の固定軌道は不要となります。また、多チャンネルの探触子を一体保持しているため1回の探傷で済むようになりました。
この装置の開発によって、検査設備の簡略化さらに作業時間の短縮が可能となり、作業員の被ばく線量の軽減を図ることができました。この自動UT装置は将来の原子炉にも活用されるものと期待されています。



参考文献
七種明雄 他,高温工学試験研究炉の原子炉圧力容器供用期間中検査装置の開発,JAERI-Tech 2001 (2001) 刊行予定.

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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