2.6 超音波でとらえる原子炉内黒鉛構造物の強度
 


図2-13  気孔を含むセラミックスにおける超音波伝播モデル。超音波の透過およびパルスエコー法と既存のモデルを基礎にしています。超音波は黒鉛中に入ると気孔に全く遭遇しない場合と気孔にぶつかった場合、反射散乱する場合と迂回していく場合とあります。


図2-14  酸化重量減によるIG-110黒鉛の引張強度の変動を超音波エコー信号の高さの関数として表したものです。超音波の伝播長さが大きくなると同じ超音波エコー高さでも強度の減少率は大きくなることがわかります。



高温ガス冷却炉などのように、黒鉛材料を多量に使用する原子炉では黒鉛構造物の強度が使用時間の経過とともにいろいろな原因で変化していきます。酸化などで、密度が減少していく場合は強度が低下します。このような状況を破壊試験ではなく、非破壊的に評価する方法の開発が切望されていました。ところが、実際には今まで超音波特性などから非破壊的に黒鉛構造物の強度を定量的に評価することは困難とされていました。図2-13のモデルに示すように、気孔を含むセラミックスに超音波が侵入すると、超音波は気孔を迂回したり気孔で散乱されたりして、透過の場合超音波の強度が減衰し、反射の場合強度が増加することになります。一方、気孔の大きさの増加および気孔の数の増加に伴ってセラミックス材料の強度が低下することがよく知られています。この研究に基づき、図2-14に示しているように、気孔を含む黒鉛中の超音波の減衰および気孔による反射波エコーの高さの増加と黒鉛材料の強度を結びつけるモデルを提案し、超音波エコーの反射波の増加減衰を測定することによって、黒鉛構造物の強度を推定評価することが可能になりました。図2-14(a)はHTTRの炉心支持ポスト黒鉛の超音波パルスエコー高さと引張強度の減少率との関係を示しており、パルスエコー高さが増加するにつれて強度が減少していく様子がわかります。図2-14(b)は同様な現象を可動反射体黒鉛ブロックについて示しています。



参考文献
T. Shibata et al., Ultrasonic Signal Characteristics by Pulse-Echo Technique and Mechanical Strength of Graphite Materials with Porous Structure, Nucl. Eng. Des., 203 (2-3), 133 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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