3.8 安定な高速液体リチウム流の実現に目途
―高出力中性子発生用ターゲットの開発―
 


図3-17  国際核融合材料照射施設(IFMIF)の構成図

加速器系は、最大エネルギー40 MeV、電流250 mAの重陽子ビーム を連続して発生させます。ターゲット系は、液体リチウムターゲットとリチウムループ機器から構成されており、重水素ビームがリチウムに衝突してストリッピング反応により、中性子を発生させます。テストセル系は、核融合炉の各種材料の中性子照射を行います。


図3-18  液体リチウムターゲットのプラスチックモデル

ターゲットノズルから、幅26 cm、厚さ2.5 cmで最大流速20 m/sの液体リチウムが、半径25 cmの曲面壁を流れます。ターゲットの後ろには、照射材料を格納するテストアセンブリを配置します。


図3-19  二次元熱流動解析結果

液体リチウム中の最大温度は、表面から2 cmの位置で400℃であり、遠心力を考慮した沸点に対して十分余裕があり、曲面流れによる沸騰の抑制を解析により確認しました。



D-T核融合炉の開発には、14 MeVの中性子による照射損傷に耐える材料の開発が不可欠です。そこで現在国際核融合材料照射施設(IFMIF)の要素技術を国際協力で開発中です。IFMIFでは、最大エネルギー40 MeV、電流250 mAの重陽子ビーム を液体リチウム(Li)ターゲットに照射して、14 MeVの中性子を発生させます(図3-17)。重水素ビーム照射によるリチウムターゲットでの熱負荷は1 GW/m2にも達するため、その除熱にはリチウムターゲットの流速を最大20 m/秒にする必要があります。この高速の液体リチウム流のビーム方向の厚みは約25 mmで、表面安定性と内部での沸騰防止対策が不可欠となります。このような技術課題に対処するため、2段絞りノズルと曲面流れにより遠心力を発生させる液体リチウムターゲットを開発しました(図3-18)。最大流速で発生する1,600 m/s2の遠心力を考慮した沸点は0.2気圧で1000℃ですが、液体リチウム中の最大温度は400℃と十分余裕があることを熱流動解析コードにより確かめました(図3-19)。高速リチウム流の安定性は、液体リチウムを模擬した水流動実験で確証し、現在、液体リチウムループによる実証を計画中です。



参考文献
H. Nakamura et al., Status of Lithium Target System for International Fusion Materials Irradiation Facility (IFMIF), Fusion Eng. Des., 58-59, 919 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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