3.9 新しいリチウム同位体分離法の有効性実証
―環境を汚染しないリチウム分離濃縮に成功―
 


図3-20  イオン伝導体を用いるリチウム同位体分離濃縮の原理

〔アノード〕
LiHSO46Li7Li + HSO4-  ・・(1)
(イオン伝導体中)
6Liの移動速度 > 7Liの移動速度
〔カソード〕
6Li7Li → 濃縮6Li  ・・(2)
式(1)および式(2)から、アノード側からカソード側にリチウムがLiイオン伝導体中を透過する際、6Liと7Liの質量差によりそれらの移動速度に差が生じるため、6Liが分離濃縮されます。


図3-21  イオン伝導体のLiイオン伝導率測定結果
(周波数:5 Hz〜13 MHz、測定温度:室温〜800℃)

複素インピーダンス法によりLiイオン伝導体の伝導率を測定しました。Liイオン伝導率が高い方が、リチウムが物質中を移動しやすく、時間あたりの分離できる量を大きくすることを表しています。


図3-22  イオン伝導体のリチウム同位体分離係数
(イオン伝導率が0.01 S/cmの時)

イオン伝導体を用いたリチウム同位体分離係数の測定は電界法により行いました。リチウム同位体分離係数が高い方が、6Li濃度を高くし易いことを表しています。



核融合炉燃料のトリチウム生産を効率的に行うためには、ブランケット内の6Liの濃度を高くする必要があります。これまで、水銀アマルガム法が、リチウム同位体分離方法に用いられていましたが、水銀による環境汚染などのため、新たなリチウム分離法の開発が望まれています。このため、Liイオン伝導体中で同位体質量の違いによる移動速度の差を利用した同位体分離法(図3-20)を考案し、実証しました。
イオン伝導体として、Liイオン導電率が高いLi2O-TiO2系のスピネル型Li4Ti5O12、ペロブスカイト型La0.55Li0.35TiO3、ラムズデライト型Li2Ti3O7の3種類を選定しました。これら3種類のLiイオン伝導率は10-7〜10-1 S/cm(室温〜800℃)であり、十分な伝導率を有することを明らかにしました(図3-21)。これらのLiイオン伝導体を用いたリチウム同位体分離効率の測定結果は、スピネル型で1.014、ペロブスカイト型で1.010、ラムズデライト型で1.058であり、水銀アマルガム法のリチウム同位体分離係数(1.02〜1.07)と比較して遜色のない値が得られました(図3-22)。実用化に向けた技術開発を進める予定です。



参考文献
M. Umeda et al., Preliminary Characterization on Li Isotope Separation with Li Ionic Conductor, Fusion Technol., 39 (2), 654 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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