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「ゲル」は高分子などの巨大分子が架橋されて三次元的な網目構造を作り、これが水などの大量の低分子を吸って膨潤したものです。このような物質形態は、私たちの体内で頻繁に目にすることができます。たとえば眼の中の角膜などは好例です。ゲルは大半が低分子で構成されていて、粘性体であるのに、固体と同じく流動性がありません。この点では弾性体とも言えます。このようなゲルの2面性は、どこから来るのでしょうか? この起源を中性子小角散乱と中性子スピンエコー法(図4-11)を併用することで内部構造とその運動性の両面から解析することができました。 ゲル(図4-12左)を網目構造より非常に小さなスケールでみれば液体となんら変わりがありません。普通の高分子溶液と同じように、濃度揺らぎが熱的に生成、そして消滅している微視的な階層があります。しかしゲルの網目構造のスケールで眺めるとこの描像はもはや正しくありません。網目を作る架橋点は、濃度揺らぎの一部を“ピン止め”し凍結します。濃度揺らぎの凍結、非凍結がナノスケールで共存している点が柔らかい固体の起源です。またこの濃度揺らぎの凍結、非凍結は、決してお互いに独立ではなく、相互作用し合って共存していることが分かってきました(図4-12右)。 |
●参考文献
S. Koizumi et al., Frozen Concentration of Poly (N-isopropyl acrylamide) Gel Decomposed by Neutron Spin Echo, J. Phys. Soc. Jpn., 70 (Suppl. A), 320 (2001). |
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