粒子加速器においては、稼働時間全般にわたってエネルギーの値を一定に保つ必要があります。建設が開始された大強度陽子加速器は長時間の連続運転が想定されているだけでなく、高エネルギー大強度であるため、エネルギー変動がわずかであっても、それによって生じるビーム損失が加速器をひどく放射化させる可能性があります。それでビームエネルギーを一定に保つことが強く要求されています。
陽子でなく電子ですが、すでに稼働している大型線形加速器(SPring-8 linac)について、そのエネルギー変動とその要因を詳細に調べました。エネルギー変動の要因としては電力供給源電圧(電力線)の変動、室温および冷却水温度の変動を取り上げました。これらは互いに複雑に関連しているので統計的手法を用い、また、エネルギー変動の要因として上記以外の外部因子も白色雑音として含め解析しました。
ある一定期間これら要因がエネルギー変動に及ぼす効果を追跡し解析すると、その後の変動を予測できます。そしてこの予測値を0にするように加速を補正することができます。図5-1に示す制御システムを用いて、変動制御実験を行いました。変動制御前では図5-2 (a) に示すように0.38%のエネルギー変動があったものが、加速補正(加速高周波の位相を変える)後では、図5-2 (b) に示すように0.1%以下に制御され、大幅に改善されています。現在、さらに多くの要因を含め、変動を及ぼす過程と、大強度陽子加速器についても同様な検討を進めています。 |