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| 金属やセラミックス、半導体といった無機物質では、原子は三次元的に規則的に並んでいて、言い換えれば原子からなる平面を積み重ねたものです。では、その面が球面、それも球面の入れ子構造(ロシア民芸品のマトリョーシカのようなもの)をとった物質はどんなものなのでしょう? 私たちは図9-1に示すようなイオン加速器と電子顕微鏡とを結合した装置を作製し、イオン注入を行いながら電子顕微鏡法で同時観察する手法を用いてこのような物質を作り出すことに成功しました。この物質は、炭素原子から構成されたグラフェン(炭素の六員環が並んでできる面、黒鉛の構成要素)が同心球状の入れ子構造をとっています。原子の数にして103から108個程度からできた、ナノメータレベルのボールです(図9-2a)。この物質は図9-2bに示すように、高分解能電子顕微鏡法では玉ねぎを輪切りにしたようなコントラストとして観察され、それゆえカーボンオニオンと名付けられています。オニオンの中心はフラーレンであると考えられています。また、多結晶銅へのイオン注入によって、中心部が空洞となっているナノカプセル構造の物質を初めて見つけることができました。同時観察の結果、私たちはオニオンの核形成の瞬間を捕らえることにも成功し、サイズや形状を制御する条件などを明らかにしました。 カーボンオニオンやナノカプセルはその形状から、高弾性で低摩擦係数の球状物質であると考えられます。この特性を生かして固体潤滑剤やナノメータレベルのベアリングとしての応用を期待しています。今後、カーボンオニオンやナノカプセルの未知なる物性を解明していく予定です。 |
| ●参考文献
H. Abe, Nucleation of Carbon Onions and Nanocapsules under Ion Implantation at High Temperature, Diamond and Relat. Mater., 10, 1201 (2001). |
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