プログラムを開発する過程で間違いを見いだして目的のプログラムを完成するためにデバッグという作業が不可欠です。デバッグ作業を支援するためのプログラムをデバッガと呼びますが、従来のデバッガは必要なデータを数値の形で出力するものでした。しかし、大規模なシミュレーションプログラムのデバッグのために出力される膨大な量の数値データを検証することはとても大変なので、数値出力型のデバッガが有効に用いられてきたとはとてもいえません。
私たちはこのような課題を解決するために大規模シミュレーションに不可欠な並列計算用のデバッガ(「並列デバッガ」)と「可視化プログラム」を結合させて新しい機能を盛り込んだ「可視化デバッガ」を開発しました(図10-4)。可視化デバッガと呼ばれるものは今までも有りましたが、これらは行列やベクトルの成分の数値がどのような分布をしているか表示するものでした。
今回開発したデバッガでは、例えば、風洞の中の空気の流れをシミュレーションするプログラムをデバッグする時には、空気の流れの3次元的な図がデバッグデータとして得られます(図10-5)。この結果、膨大な数値を一つずつ検証しなくとも物理的に不自然なところは一目で発見できます。また、別のコンピュータへのプログラムの移植や並列化に当たっては、正しい計算経過からのずれ(差分データ)を可視化表示するだけでデバッグがとても効率的に進みます。可視化デバッガにはこのような機能も含まれています(図10-6)。 |