11.2  雑多な放射性廃棄物を溶かして小さく
―プラズマ溶融技術の前進―
 


拡大図(56KB)

図11-5  模擬雑固体廃棄物のプラズマ溶融処理による固化体の作製


図11-6  スラグ層内のセシウム-137の残留割合とスラグ塩基度との関係

金属と非金属廃棄物を一括溶融した場合、溶融固化体は金属層とスラグ層にわかれ、コバルト-60は主に金属層に、セシウム-137はスラグ層にほぼ均一に分布します。スラグ層の塩基度(CaO/SiO2)が大きくなるにつれて、セシウム-137の残留割合が減少します。



原子力施設から発生する放射能レベルの低い雑固体と呼ばれる廃棄物には、図11-5に示すようないろいろな材質のものが含まれ、その放射能汚染の状態も様々です。これらの廃棄物をプラズマの高熱を利用して溶融・固化する技術は、非常に有効な廃棄物処理法のひとつです。
この溶融処理は、廃棄物の体積を著しく小さくできること、大部分の放射性物質を溶融固化体内部に閉じ込めることができること、さらに、放射性物質が均一に分布するようになるので、その一部を採取して放射能測定するだけで廃棄物全体の放射能を把握できることなどの大きな特徴を持っています。
私たちは、この溶融技術を高度化するための試験(図11-5)を進め、材質の異なる廃棄物の最適な組み合わせ・処理順序などを検討した結果、断熱材など溶融の難しい廃棄物の場合であっても、最適条件下では、溶融助剤などの添加を抑制し、処理温度を著しく高めることもなく十分な流動性を確保して溶融処理できること、放射性核種は溶融固化体のスラグ層あるいは金属層の中に均一に分散されることなどを明らかにしました。また、代表的な揮発性核種のセシウム-137のスラグ層への移行は、スラグの化学組成に依存していること(図11-6)なども明らかにしました。
これらのことは、廃棄物減容率の確保、溶融炉内の耐火物の腐食抑制、核種挙動の予測などの観点から、現在、原研に建設中の高減容処理施設の運転に大きく貢献するものであります。



参考文献
中塩信行 他,雑固体廃棄物の溶融挙動と固化体の特性(受託研究),JAERI-Research 2001-001 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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