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高線量域の中性子吸収線量の簡便な測定法の開発




図1-2 アラニン線量計と熱蛍光線量計の外形寸法

アラニン線量計と熱蛍光線量計はともに小型、軽量なため臨界事故などの事故時用の個人線量計としても使用できます。


図1-3 模擬実験の結果

TRACYを用いた模擬実験により、アラニン線量計とホウ酸リチウム熱蛍光線量計で中性子吸収線量を測定した結果は、連続エネルギーモンテカルロコードにより計算した結果と0.5〜700 Gyの範囲でよく一致していることが確認できました。これにより、高い中性子吸収線量を精度よく、簡便で短時間に測定できることがわかりました。




 JCO事故のように核燃料取扱施設で臨界事故が発生した場合、現場作業者が多量の放射線を受けることになります。放射線障害の診断や治療方針を決める緊急被ばく医療のためには、一刻も早く現場作業者が受けた中性子やガンマ線の吸収線量の情報が必要となります。
 これまで海外の臨界事故模擬実験によって開発が進められた測定法では高い中性子吸収線量は、金、銅、インジウム、硫黄などの金属の放射化量を測定(誘導放射化測定法)して評価されていました。この測定法では、金属などの放射化量を測定し、その結果から人体の吸収線量を評価するため複雑な解析計算と換算が必要で、多くの時間がかかり、精度も良くありませんでした。
 そこで今回、中性子とガンマ線の両方に感応するアラニン線量計とガンマ線のみに感応するホウ酸リチウム熱蛍光線量計を用いて、複雑な計算を行うことなく中性子吸収線量を簡便に評価する手法を開発しました。
 アミノ酸の一種であるアラニンを使用したアラニン線量計は、日本原子力研究所高崎研究所と日立電線鰍ナ共同開発したものです。
 アラニン線量計とホウ酸リチウム熱蛍光線量計は(図1-2)、人体とほぼ同じ放射線感度を有していますから測定値から直接的に吸収線量を評価できます。また、ガンマ線に対してもこれらの線量計はほぼ同じ放射線感度を有していますから、両線量計の測定値の差から中性子吸収線量を簡便で短時間のうちに評価することができます。
 この手法の適用性を検証するために過渡臨界実験装置(TRACY)を用いて臨界事故模擬実験を行い、0.5〜700 Gyの範囲で中性子吸収線量を評価できることがわかり、また、連続エネルギーモンテカルロコードによる計算機シミュレーションともよく一致していることを確認しました(図1-3)。
 これらの線量計は、小型、軽量であることから事故時用の個人線量計としても用いることができます。



参考文献
H. Sono et al., Measurement of Neutron and Gamma-Ray Absorbed Doses Under Criticality Accident Conditions at TRACY Using Tissue-Equivalent Dosimeters, Nucl. Sci. Eng., 139, 209 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2002
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