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核融合炉プラズマの温度や密度はレーザー光を用いて測定することができます。測定は、レーザー光を真空容器の窓を通し、鏡で反射させてプラズマに導入して行いますが、これらの窓や鏡は、中性子やγ線の照射によって曇ったり、反射が鈍くなったりします。このため、あらかじめ、中性子やγ線の照射によって、窓や鏡の光透過率や反射率がどのように変化するかを調べる必要があります。 多量の中性子や強いγ線の照射試験を行うには、材料試験炉を利用して実施しますが、これには、キャプセルと呼ばれる密閉容器が必要です。このため、窓材の光透過量を調べるためのキャプセルとして、「光計測キャプセル」を開発しました(図9-1)。このキャプセルには、照射時のキャプセルの熱膨張等による光軸の歪みを補正するための2次元光軸調整機構や複数の試料を測定するための回転ステージが取付けられています。もちろん、これらの機構を遠隔で動かすためには、放射線に強いモータやマイクロメータ等が必要となりますので、これらの開発も併せて行いました。 窓材の光透過量の測定は、炉外から白色光を耐放射線性の光ファイバで導入し、試料の透過光を反射鏡(CCR: coner cubic reflector)で反射させて行いました。窓材の候補材であるサファイヤ及び溶融石英(KUクオーツ)の照射試験の結果を図9-2に示します。この結果から、光透過損失量は中性子照射量と共に増加すること、可視領域の波長範囲では溶融石英の損失量が小さいこと、低温で照射した場合には、炉停止時等の僅かな中性子照射でも損失量が大きくなること等が明らかになり、これらの成果は、ITERの光計測機器の設計に反映されました。今後は、この技術を応用し、材料の伸び、温度分布の計測や引張試験が原子炉内で可能になるものと期待されます。 |
参考文献
E. Ishitsuka et al., Neutron Irradiation Test of Optical Components for Fusion Reactor, Effects of Radiation on Materials, 19th Int. Symp., ASTM STP 1366,1176 (2000). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |