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原子力発電所の確率論的安全評価(PSA)では、原子力発電所の多くの安全システムの信頼性を評価し、それらを組み合わせて炉心損傷確率を計算します。このような安全システムには、ポンプや弁など同じように設計された多数の機器が設けられていますが、我が国で重要と考えられる地震時には、地震波に機器の固有振動数と同じ成分の波が含まれるなら、同じように設計された複数の機器は共振し、仮に一方が壊れるとしたら他方も壊れることも考えられます。このようなことを相関性といいます。もちろん、実際の原子力発電所では、このようなことが起きないように、細心の注意を払って耐震設計されています。相関性が高まると、相関性が全くない独立な場合に比べ、並列システムで多数の機器が同時に故障する確率(機器故障の積の発生確率)は大きくなりますが、一方、直列システムで機器のどれか1つでも故障する確率(機器故障の和の発生確率)は小さくなります(図10-7)。相関性の影響を考慮するために米国で開発された手法では、相関性による多数の機器故障の積の発生確率への影響しか考慮できないため正確に計算できませんでした。そこで、原研では、新たにモンテカルロ法を利用することにより、相関性による機器故障の積だけでなく和の発生確率への影響も考慮できる手法を開発しました。この手法により、地震下での複雑なシステムの信頼性、ひいては炉心が損傷する確率がより正確に評価できるようになりました(図10-8)。 |
参考文献
T. Oikawa et al., Development of Systems Reliability Analysis Code SECOM-2 for Seismic PSA, Reliab. Eng. Syst. Saf., 62, 251 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |