公開日付: 2025年 7月 15日
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高温ガス炉(HTTR)と水素製造施設の接続設備機器の開発計画
-水素社会実現に向けた高温ガス炉による水素製造への取組み-
図1 HTTR-熱利用試験計画のレイアウト図
図2 HTTR-熱利用試験施設における各接続設備機器の概念図
原子力機構は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に基づき、高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を実現する接続技術及び評価手法の確立を目的とし、HTTRに水素製造施設を接続するHTTR-熱利用試験(図1)を開始しました。これまでに、HTTRと水素製造施設を接続する設備機器の基本設計及び開発計画の策定を実施しました。
接続設備機器(図2)は、①原子炉からの放射性物質の外部漏えいを防ぐ高温隔離弁、②高温ヘリウムガスを供給する2次ヘリウム循環機、③水素製造施設へ高温ヘリウムガスを移送する高温断熱配管で構成することとし、これらの開発計画を次のとおり定めました。高温隔離弁の開発では、要求シール性能を達成しつつ、遮断動作時に弁体と弁座の融着が生じないよう締切面圧を最適化することや、溶接条件の確認が必要であることが分かりました。2次ヘリウム循環機の開発では、将来の大容量化を見据えた上で要求性能を満たすため、磁気軸受、高速モーター及び空力部(インペラ)を対象に、ヘリウム環境での要素試験を実施する必要があることが分かりました。高温断熱配管の開発では、新たな断熱材を使用するため、候補断熱材のヘリウム環境での伝熱特性データ測定や、施工方法の検証を実施することが必要であることが分かりました。
これらの結果に基づき、各接続設備機器の要求仕様を明確化します。
謝辞
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁からの受託事業「令和5年度高温ガス炉実証炉開発事業(超高温を利用した水素大量製造技術実証事業)」の成果の一部です。
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