公開日付: 2026年3月27日
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高温ガス炉の水素製造技術で脱炭素社会の実現へ
-ヘリウムと水の熱流動挙動を予測する手法を確立-

図1 モックアップ試験との比較によるプラントシミュレータの予測性能の確認結果
高温ガス炉と水素製造施設を接続したプラントにおいて重要な物理現象(①大気放熱、②自然循環)のモデルを熱水力解析コード「RELAP5」へ組み込んだプラントシミュレータを開発し、水素製造を停止したモックアップ試験の再現によって、水素製造停止後のヘリウムと水の温度や圧力挙動を予測できることを確認しました。
原子力機構は、脱炭素に貢献する水素製造に向けて、大洗原子力工学研究所にある高温ガス炉の試験研究炉「HTTR」(高温工学試験研究炉)と水素製造施設を接続する試験を計画しています。水素製造施設に設ける水蒸気改質器は、HTTRの冷却材であるヘリウムの高温熱を利用して、メタン及び蒸気発生器で生成する水蒸気から水素を製造します。この計画では、何らかの原因でメタンの供給が止まり、水素製造が停止した場合、水素製造施設は蒸気発生器と放熱器の間で水と水蒸気の自然循環によって、ヘリウムの熱を放熱器へ伝え、大気へ逃がす設計です。このようなプラントの挙動を予測するためには、複雑な現象を模擬するプラントシミュレータの開発が課題でした。
本研究は、ヘリウムの熱流動評価モデルを組み込んだ熱水力解析コード「RELAP5」に、蒸気発生器と放熱器の間の自然循環モデルを導入し、配管放熱の寄与や放熱器のモデルを考慮したプラントシミュレータを開発し、過去のモックアップ試験を再現することで、解析と試験の比較検証を行いました。
その結果、ヘリウム温度、水蒸気圧力の過渡挙動の解析は試験と同様の傾向を再現することができました(図1)。これにより、開発したプラントシミュレータによるヘリウムや水の挙動の予測の妥当性を確認することができました。
本研究で開発した解析コードは、HTTRと水素製造施設を接続する試験の計画検討に活用される予定です。
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