公開日付: 2026年 2月 6日
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IS水素製造法の高温強酸環境下で溶液組成を予測する
-深層ニューラルネットワークを用いたオンライン組成予測法の開発-

図1 (a)重液精製塔の機器構成、(b)組成予測のための深層ニューラルネットワーク、
(c)重液精製塔運転による計測値の実測データに基づく溶液組成の予測結果と実測値の比較
ヨウ化水素酸溶液から硫酸を除去する重液精製塔のボトム溶液組成を、計測可能な測定値のみを入力情報として、組成を出力できる深層ニューラルネットワークを構築しました。実測の計測データ(密度、液温、圧力)を入力して、溶液組成の予測を試みた結果、溶液組成の実測データとよく一致する結果が得られ、本手法によるオンライン予測が可能であることを確認しました。
高温ガス炉が生み出す高温熱を利用したカーボンフリー水素製造法であるIS法は、ヨウ素(I)と硫黄(S)の化学反応を組み合わせて水を分解する化学プロセスです。
安定した水素製造運転には、各反応器においてヨウ化水素や硫酸などの多くの成分を含む溶液やガスの組成を一定に制御しなければなりません。一方で、高温強酸環境であるIS法では使用できる計測器に限りがあり、組成をオンラインでリアルタイムに測定することが困難でした。
そこで、計測可能な物性データと組成の間に相関があることを利用し、深層ニューラルネットワークにより、組成を予測する手法を開発しました。IS法の高温強酸環境においては、関係式が複雑なため、物性データと組成間の理論式はほとんど明らかになっていませんが、本手法を用いることで、理論式がなくても過去の測定データを学習することで、組成の予測を可能にしています。
ヨウ化水素酸から硫酸を除去する重液精製塔をモデルケースとして、実際の溶液の密度、液温、圧力の経時データから、本手法を用いて疑似的に溶液の組成を求めた結果、実測した組成をよく再現しました(図1)。
本手法は、IS法の各反応器において適用可能なため、プロセス全体の組成変化をリアルタイムに予測できて、プロセスを安定に制御することができるようになります。
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