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公開日付: 2026年 1月 13日

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放射性核種の「ひろがり」は地層処分システムの性能にどう影響し得るか?
-縦方向分散長が最大移行率に与える影響について-

図1 縦方向分散長が岩盤亀裂からの放射性核種の移行率に与える影響

図1 縦方向分散長が岩盤亀裂からの放射性核種の移行率に与える影響


高レベル放射性廃棄物の地層処分では、廃棄体から地下水に溶け出た放射性核種が人工バリアから地表付近までの岩盤中を移行します。この間に、半減期による減衰に加え、岩盤中での様々な地下水流速により放射性核種が広がる現象が生じます。この「ひろがり」を「水理学的分散(分散)」と呼んでいます。この分散により放射性核種の濃度が低くなることで、地表での放射線による人間への影響が抑えられることが期待できます。

地層処分において、10万年を超える将来の安全性を評価するための核種移行解析では数値モデルが不可欠であり、「保守性」を考慮してパラメータを設定する必要があります。分散の大きさを示すパラメータである縦方向分散長は、実測が困難であり、不確かさが大きい指標です。このため、本研究では、分散長の大小が放射性核種の移行挙動に与える影響を明らかにすることを目的として、仮想の放射性核種と地質媒体を対象に、分散長と核種の半減期についてパラメータ解析を実施しました。

まず、放射性核種の半減期や地質に関わる幅広い条件を対象に、縦方向分散長の大小が岩盤亀裂中の放射性核種の移行挙動に与える影響を解析しました。その結果から、放射性核種の半減期に対する移行に要する時間の比が、岩盤亀裂からの放射性核種の最大移行率に与える影響を整理しました。

整理の結果、放射性核種の移行に要する時間が比較的短いケースでは、縦方向分散長の大小による放射性核種の最大移行率の変化は、数倍程度の違いになりました。逆に長いケースでは、縦方向分散長の増加によって最大移行率が数桁もしくはそれ以上高くなり、両者で影響のパターンが大きく異なることが明らかとなりました(図1)。こうした結果は、本質的に不確かな縦方向分散長を保守的に設定して安全性を評価するために有効な知見と考えられます。

著者情報
参考文献
樺沢さつきほか, 分散長が地層処分の安全評価指標である最大核種移行率に与える影響の理解, 原子力バックエンド研究, vol.32, no.1, 2025, p.10–22.
外部論文: https://doi.org/10.3327/jnuce.32.1_10

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