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公開日付: 2026年 2月 9日

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セメントペーストの流動性に影響する化学物質についての調査
-放射性廃棄物のセメント固化プロセスを安定して稼働させるために-

表1 化合物によるセメントの凝結への影響に関する文献調査結果のまとめ

文献調査を行い、セメントの凝結(=硬化すること)への影響を化学物質ごとに整理しました。凝結に与える影響については、定性的に示されたものも多く、塩化カルシウムや炭酸カリウム等の一部の化学物質ではその添加量によって一定の値を境に、凝結時間に与える影響が逆転する報告がありました。

表1 化合物によるセメントの凝結への影響に関する文献調査結果のまとめ

図1 カリウム化合物充填率とセメント凝結時間の関係

図1 カリウム化合物充填率とセメント凝結時間の関係

カリウム化合物の充填率を変えるとセメントペーストの凝結時間が変化しました。各グラフのプロットの下端は“セメントが固まり始めた時間”、上端は “セメントが固まりきった時間”を示しています。陽イオンをカリウムで統一した場合、陰イオン種が異なることで、凝結時間に与える影響が異なっていることが分かりました。

放射性廃棄物のセメント固化プロセスでは、セメントペーストの流動性が重要となります。廃棄物に含まれる成分とセメントの化学反応により、セメントペーストが本来の流動性を保つ時間が短縮される等の変化が生じることで処理プロセスへの影響が懸念されますが、これまでにセメントの流動性に影響を与える化学物質に関する整理は十分ではありませんでした。

そこで私達は、セメントが流動性を失って固まっていく“凝結”という状態を一つの指標として、セメントの“凝結”に影響を与える化学物質を対象に既往の知見を調査しました。化学物質ごとに調査結果(表1)を整理すると、凝結への影響は促進又は遅延に分類されることが分かりましたが、凝結に与える影響については“促進”、“強く促進”、“エーライトの水和を促進”等の定性的な表現であり、塩化カルシウムや炭酸カリウム等の一部の化学物質では、その添加量によって凝結に与える影響が逆転するものも見られました。このことから、文献情報の少ないカリウム化合物に着目し、陰イオンが異なるカリウム化合物を用いてセメントの凝結時間を測定しました(図1)。

その結果、凝結時間に与える影響を数値化して示すことが可能となり、また、促進に寄与するメカニズムについては複数あることが分かりました。セメントの凝結に影響を与える化学物質の調査と試験を通じて、セメント固化プロセスを安定して稼働させるために必要な管理すべき成分について、検討に向けた情報整理に貢献することができました。

本成果は、放射性廃棄物をセメント固化する際の分析対象の検討や廃棄物充填量の設定等への今後の活用が期待されます。

謝辞
本研究は、経済産業省からの受託研究「令和6年度開始 廃炉・汚染水・処理水対策事業(固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発)」の成果の一部です。
著者情報
参考文献
谷口拓海ほか, セメント固化におけるペーストの流動性に影響する化学物質についての調査, JAEA-Review 2024-059, 2025, 20p.

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