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公開日付: 2026年3月31日

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発電しながらTRU廃棄物を燃やしきる高速炉炉心概念を構築

図1 燃焼炉心を用いた多重リサイクルによるTRU量の減容とTRUの劣化

図1 燃焼炉心を用いた多重リサイクルによるTRU量の減容とTRUの劣化

TRU減容に合わせて発電所の出力規模と基数を減少させていくという多重リサイクルシナリオを前提としました。75万kWe規模の燃焼炉心で多重リサイクルを開始すると、TRU量は元の22 %に減少しました(同炉心4基分に相当)。SiC材を使用した30万kWe規模の燃焼炉心にてリサイクル継続することで、TRU量は元の1 %に減少しました(同炉心1基分に相当)。この間、核分裂しやすいPu-239は減少し反対にMAは増加します(TRUの劣化)。仮にSiC材を使用しなかった場合、図中の破線のようにPu-239減少とMA増加は顕著になります。


高速炉は発電しながら自らの燃料を生成するだけでなく、核分裂しにくいプルトニウム(Pu)や長半減期のマイナーアクチニド(MA)といった超ウラン元素(TRU*1)をも燃料として利用可能で、放射性廃棄物の減容といった環境負荷低減にも貢献できます。本研究では、高速炉サイクルが遠い将来に基幹電源としての役目を終える時期に、サイクル内に残されたTRUを多重リサイクルにより減容可能な燃焼炉心概念を検討しました。

図1のように多重リサイクルにより、Pu-239の割合が減少するとともにMAの割合が増加(このような変化をTRUの劣化と呼びます)していき、これが安全性に係る炉心特性の悪化*2を引き起こします。高TRU消費率を目指しつつ、この悪化に対処することが炉心概念成立性のキーとなりました。

悪化への改善策の一つとして炭化ケイ素(SiC)材を燃料被覆管等の構造材に採用しました*3。SiC材の採用には炉心特性の改善だけでなく、TRUの劣化を抑制する効果が見られました(図1)。結果として、リサイクル中の全ての劣化TRU組成に対し安全性が確保された炉心を構築できました。試算により、これらの炉心概念は約300年でTRU量を元の1 %にまで減容できる原理的可能性を見いだしました(図1)。高速炉は社会のニーズに応じて、燃料の増殖と廃棄物減容の両方を実現でき、核燃料物質のマネジメントに有用な発電概念となります。

*1 Pu同位体のうちPu-239やPu-241は核分裂しやすく、Pu-240などは核分裂しにくい性質があります。また、アメリシウム241やキュリウム244といった核種はマイナーアクチニドと呼ばれ、多くが核分裂しにくい性質を持ちます。これらウランよりも元素番号の大きい核種をTRUと呼びます。

*2 主にドップラ係数とナトリウムボイド反応度が悪化します。ドップラ係数とは、燃料の温度上昇により中性子吸収反応が増加するというドップラ効果によって生じる負の反応度の大きさを表します。ナトリウムボイド反応度とは、冷却材喪失により、主に高速中性子の割合が増加(スペクトル硬化)することによる反応度増加と、反対に中性子漏えいが増加することによる反応度低下の差し引きで決まる炉心特性を表すものです。大型の炉心では一般的に反応度増加の効果が勝ります。

*3 炭化ケイ素(SiC)材は高強度セラミックス材の一つであり、SiC材に含まれる炭素による比較的弱い中性子減速効果がドップラ係数とナトリウムボイド反応度の改善に作用しました。

謝辞

本研究は、経済産業省からの受託事業である「平成29年度高速炉国際協力等技術開発」の一環として実施した成果を含みます。

著者情報
参考文献
Mouri, T. et al., Study on Actinide Burning Core Concepts for the Future Phaseout of a Fast Reactor Fuel Cycle, Nuclear Technology, vol.209, issue 4, 2023, p.532–548.
外部論文: https://doi.org/10.1080/00295450.2022.2133514

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