公開日付: 2025年 12月 2日
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燃料ピン束を流れる冷却材の動きを解析コードで詳しく知る
-模擬試験で妥当性を確認-

図1 模擬燃料集合体解析結果
(a)の軸方向流速分布では、周方向Θ = 60°~120°のラッパ管近傍流路では軸方向流速が速くなっており、ワイヤーに追従する旋回流の形成をよく捉えています。また、(b)の温度分布では、ラッパ管側から中心側に向かって凸となる分布を予測できています。
ナトリウム冷却高速炉(SFR)の燃料集合体(FA)は、数百本の燃料要素(燃料ピン)を正三角形状に配列し、ラッパ管と称する正六角形状の管に格納したものです。燃料ピンには、細径のワイヤーがピン間距離を保つためのスペーサー(ワイヤースペーサー)として螺旋状に巻かれており、冷却材である液体のナトリウムはFA下部から流入して、燃料ピンを冷却しつつ、燃料ピン周りを上昇し、上部のFA出口より流出します。
定格運転時から、運転停止後の放射性物質の崩壊で生じる熱(崩壊熱)の除去時までの様々な運転条件におけるFA内の冷却材の熱流動現象を明らかにする解析評価手法の一つとして、詳細熱流動解析コードSPIRALを開発しています。SPIRALの解析結果の妥当性確認の一環として、37本の燃料ピンを電気ヒータで模擬した試験を対象に解析を実施しました。図1(b)に示すように、解析結果の温度分布が試験結果と一致することを確認しました。また、図1(a)に示すように、試験では計測が難しい軸方向流速分布を詳細に評価することが可能となりました。これらの解析結果から、FA内の熱流動現象を合理的に説明することが可能となりました。
今後、妥当性確認を積み重ねてSPIRALの信頼性を高めていき、FA設計や安全性評価に貢献していきます。
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