公開日付: 2026年3月31日
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アインスタイニウムで発見した重元素の新たな核分裂

図1 メンデレビウム原子核(258Md)の核分裂片質量数と全運動エネルギーに対する収率分布
258Mdの励起エネルギーE*=15 MeV(左)と18 MeV(右)のデータを比較しています。下の図は、それらに対応する理論計算で、非対称核分裂が励起エネルギーとともに増加する様子など、実験結果を再現しています。
原子核の存在限界、すなわち元素の周期表がどこまで続くかは、原子核の核分裂に対する安定性で決まります。この安定性は、原子核がどのような形を経由してちぎれていくかに依存していますが、自然界に存在するウランなどと異なり、100番元素以上での核分裂はほとんど分かっていません。
本研究では、101番元素の原子核であるメンデレビウム原子核(258Md)の核分裂を世界で初めて観測しました。この原子核を人工的に生成するため、特別に用意されたアインスタイニウム標的(254Es)に原子力機構のタンデム加速器で加速したヘリウム(4He)原子核をぶつけました。この結果、図1上に示すように、258Mdには三つのちぎれ方があることが分かりました。特にこの中で、大きい核分裂片と小さい核分裂片を生み出す非対称核分裂成分が、258Md原子核の励起エネルギーとともに増大することを発見しました。これらはウランでは見られない現象です。また、分裂の仕方を高精度で記述する理論を開発することにより、実験結果を説明することができました(図1下)。
本成果は、元素の存在限界の解明の一歩であるとともに、開発した核分裂理論は広く原子力エネルギー利用にも貢献するものです。
謝辞
アインスタイニウム同位体は、米国オークリッジ国立研究所から特別に入手しました。また、計算は原子力機構スーパーコンピュータ「HPE SGI8600」を利用しました。
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