公開日付: 2026年 2月 17日
アクセスカウント:0
正確な線量評価を可能にする日本人のポリゴン型人体モデルを開発
-人体モデルのデータを無償公開-

図1 ポリゴンメッシュ型人体モデル
(a)全身の前面図及び(b)詳細眼球組織モデルの3D断面図を示します。

図1 JPFにおけるAPジオメトリでの電子入射による眼球組織の臓器線量
被ばく線量を正確に評価するためには、体内での放射線の詳細な挙動を考慮する必要があります。そのため、人体モデルとPHITS等のモンテカルロシミュレーションコードを組み合わせた計算手法は、非常に有用です。国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線感受性の高い幹細胞領域への放射線影響に関する知見を更新し、水晶体の被ばく線量限度を引き下げました。しかし、従来の日本人の人体モデルには幹細胞領域が定義されていないため、水晶体の被ばく線量評価には利用できませんでした。
本研究では、物体の形状を柔軟に表現できるポリゴン技術により、標準的な日本人の成人男性(JPM)及び成人女性(JPF)のポリゴン型人体モデルを新たに開発しました(図1(a))。JPMとJPFの水晶体、皮膚、口腔粘膜、舌、食道、胃、小腸、結腸、細気管、膀胱には、幹細胞領域が組み込まれています(図1(b))。したがって、それらの複雑かつ微細な構造を反映した正確な被ばく線量を算出することが可能です。図2は、電子を前方照射した際のJPFの眼球(球状)及び水晶体の幹細胞領域(薄い円盤状)の被ばく線量を示します。両者の線量は、解剖学的構造の差異を反映して変動しており、JPM及びJPFを用いることにより、眼の水晶体の線量を正確に評価することが可能です。
現在、JPMとJPFの姿勢や体格の変形技術の開発を進めています。今後、この変形技術を実装したJPM及びJPFは、治療中の医療従事者や患者、放射線事故時の作業員の被ばく線量管理の改善に役立つことが期待されます。JPM及びJPFの電子データは、インターネット上で無償公開*されており、手続き等不要で利用することが可能です。
* 日本人人体モデルの公開ホームページ: https://github.com/JapanesePolygonPhantom/JPM-JPF-Phantom
このページへのご意見やご感想などありましたらボタンをクリックしてご意見ご感想をお寄せ下さい。
