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公開日付: 2026年3月3日

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反射率変化光熱分光法による希薄溶質の高感度検出
-フェムトリットル量の非蛍光物質の測定に成功-

図1 反射率の変化を利用して光吸収を検知 

図1 反射率の変化を利用して光吸収を検知 

図2 希薄な色素の分析例

図2 希薄な色素の分析例


放射性廃液の分析では、安全性の観点から大量の試料を扱えないため、ごく少量の薄い水溶液でも成分を正確に測定できる技術が求められます。しかし、希薄で非蛍光の物質は一般的な吸収測定では感度が不足し、蛍光も利用できないため検出が難しいという課題がありました。さらに、高感度な光熱分光法も存在しますが、従来の方法は光の位置合わせや干渉光学素子の調整などの複雑な光学系が必要で、扱いが難しいという問題点がありました。

そこで本研究では、光吸収によるわずかな温度上昇がガラスと水溶液の界面の反射率を変えるという性質を利用することで、シンプルな光学系での高感度測定を可能にしました(図1)。加熱用と計測用の光を同じ場所に照射するだけで済み、従来のような精密なビーム調整や特殊素子を必要としません。実験では、微小チャネル内のきわめて薄い色素水溶液でも75 nMを検出し、フェムトリットル量の非蛍光物質の測定に成功しました(図2)。

今後は、異なる材料のマイクロチャネルへの適用や背景光を抑える工夫により、放射性試料を含む微量水溶液のより安全で信頼性の高い分析手法として発展することが期待されます。

謝辞

本研究は、文部科学省 卓越した若手研究者育成事業(JPMXS0320230068)の助成を受けて実施されました。

著者情報
参考文献
Urashima, S. et al., Sensitive Detection of Nonfluorescent Solutes in Small Amounts of Dilute Aqueous Solutions Through Photothermally Induced Reflectivity Modulation at Glass/Aqueous Solution Interfaces, Analyst, vol.150, issue 5, 2025, p.819–826.
外部論文: https://doi.org/10.1039/D4AN01247J

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