公開日付: 2026年 1月 23日
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燃料デブリ化学分析に向けた溶解技術の開発

図1 TMI-2デブリを用いたコンクリートセル内での実証試験スキーム
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故で発生した燃料デブリの性状把握は、燃料デブリの取出し工程の策定、臨界管理、保管や事故進展解析等に必須の情報です。このデブリ性状把握の主要項目である元素・核種組成の評価には、燃料デブリの完全溶解と化学分析が不可欠です。しかし、1F燃料デブリは酸化物、ホウ化物、様々な合金等で構成されるため化学的安定性が高く、スリーマイル島原子力発電所事故で生成した燃料デブリ(TMI-2デブリ)の知見からも、硝酸、塩酸、フッ酸等による酸溶解法では完全に溶解できないと考えられています。
今回の研究では、燃料デブリの元素組成分析を行うためのデブリ融解法を検討しました。「過酸化ナトリウムを用いたアルカリ融解処理法」に注目し、2種類の模擬デブリを対象として処理条件を検討し、ニッケルるつぼを用いた650 ℃での融解処理が最適であることを示しました。さらに本手法を、TMI-2デブリを対象としたコンクリートセルでの実証試験に適用し、燃料デブリの完全溶解を確認しました。得られた溶解液の元素組成分析は再現性に優れ、固体分析による結果と良好な一致を示し、本手法の有効性を実証しました。
今回の成果は燃料デブリの化学分析に必要な前処理としての溶解手法を確立したものであり、1F廃炉が完了するまでの長期にわたる活用が期待されます。
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