公開日付: 2026年4月17日
アクセスカウント:0
植物性タンパク質の構造に対する温度とせん断の効果
-代替肉の食感形成の分子機構を解明する-

図1 加熱、せん断、冷却による植物性タンパク質の構造変化の模式図
植物由来タンパク質をエクストルーダー(押出加熱・せん断加工)で組織化し、肉様の食感をつくる技術は、代替肉の主なプロセスとして広く用いられています。一方で、装置内では温度・水分・せん断の工程が同時に作用するため、どの工程がタンパク質の分子構造をどう変え、最終的な食感につながるのかは、分子レベルでの切り分けが難しいという課題がありました。
本研究では、タンパク質の二次構造に着目し、エンドウ豆由来タンパク質を用いて、二次構造に対する加熱・冷却・せん断の効果を解析しました。具体的には、温度制御ATR-FTIR(赤外分光)で加熱・冷却サイクルを追跡するとともに、微量の試料で押出条件を模擬できるマイクロコンパウンディングで加熱とせん断の影響を評価しました。解析の結果、加熱のみではαヘリックスや分子内βシートがほどける一方で、鎖同士が結びつく分子間βシートが生成することが示されました。その後の冷却過程では、分子間βシートはより秩序化・成長してネットワークが強化され、同時に無秩序領域の一部が“非天然”なβ構造として部分的に折り畳まれます(図1上)。一方、加熱過程でせん断が加わると、βシート形成がより進み、分子間βシートに富む構造になることが分かりました(図1下)。タンパク質鎖が絡み合った凝集ネットワークとして発達したタンパク質マトリクスが噛み応えのある食感につながることが示されました。
本研究では、これまで不明だったエクストルージョン処理中のタンパク質の構造変化を二次構造レベルで解明することに成功しました。代替肉のみならず様々な食品素材の食品加工プロセスの高度化につながる可能性が高く、機能的な食品開発への貢献が期待されます。
このページへのご意見やご感想などありましたらボタンをクリックしてご意見ご感想をお寄せ下さい。
