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公開日付: 2026年 1月 29日

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土壌中に強く固定化された放射性セシウムの除去
-除去土壌の最終処分量低減を目指して-

図1 粘土鉱物へのセシウムの吸着とメカノケミカル(粉砕+化学処理)法による脱離モデル(上)及び処理前後の粘土鉱物のSEM(走査型電子顕微鏡)画像(下)

図1 粘土鉱物へのセシウムの吸着とメカノケミカル(粉砕+化学処理)法による脱離モデル(上)及び処理前後の粘土鉱物のSEM(走査型電子顕微鏡)画像(下)

塩化アンモニウム溶液を用いたメカノケミカル処理により高い脱離率が得られ、SEM観察の結果、粘土鉱物が微粒子化していることが確認されました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う除染作業によって放射性セシウムを含む大量の土壌(除去土壌)が発生しました。これらの除去土壌は、2045年までに福島県外で最終処分を完了する必要があります。また、除去土壌は放射能濃度が8,000 Bq/kg以下であれば再生利用が認められていることから、放射能濃度が高い土壌を減らし、処分量をできるだけ少なくすることが重要な課題となっています。しかし、土壌中の粘土鉱物(層状ケイ酸塩)の層間に強く吸着している放射性セシウムは、他の陽イオンが到達しにくいほど深く入り込んでいるため、取り除くのは容易ではありません(図1上)。

本研究では、ボールミルによる物理的粉砕と化学処理を組み合わせたメカノケミカル(MC)法を用いて、粘土鉱物試料を対象にセシウムの脱離特性を調査しました。その結果、各種試薬を用いたMC処理の中で、セシウムと同程度のイオン半径を持つ塩化アンモニウム溶液を使用した場合に、粘土鉱物粒子が微細化し(図1下)、放射性セシウムが吸着した実際の土壌に対しても80 %以上の高い脱離率が得られることが明らかとなりました。

本研究の成果は、放射性セシウムを簡便に脱離する方法として有望であり、最終処分が必要な除去土壌の削減につながることが期待されます。今後は、SPring-8の放射光を用いた分析を活用して、MC処理による層間のセシウム吸着状態を検証していく予定です。

著者情報
参考文献
Kaneta, Y. et al., Desorption of Cesium from Fukushima Soils Using a Mechanochemical Method, Clays and Clay Minerals, vol.73, 2025, e26, 8p.
外部論文: https://doi.org/10.1017/cmn.2025.9

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