公開日付: 2026年 1月 21日
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液体光ファイバーのチェレンコフ発光を用いて高γ線環境下で放射性ストロンチウムを測る
-福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋内での放射性ストロンチウムその場直接検知-

図1 (a)チェレンコフ発光を用いた90Sr/90Y測定原理、(b)90Sr/90Yと137Csを測定した結果の例

図2 (a)1F3号機原子炉建屋1階における実証試験の様子、(b)実証試験結果
東京電力福島第一原子力発電所(1F)廃炉現場では、作業員の被ばく低減や汚染状況の把握のため、放射性核種の分布を精確に評価することが求められています。ここで、純β放出核種である放射性ストロンチウム(90Sr/90Y)は、眼の水晶体防護や事故進展理解を進める上で分布の把握が重要です。しかし、γ線のバックグラウンドが高い1F原子炉建屋内で90Sr/90Yを直接測ることは容易ではなく、現状スミア法などの間接測定に頼らざるを得ないため、詳細な分布は不明です。
本研究では、コア材が液体の光ファイバーである液体ライトガイド(Liquid light guide、LLG)のチェレンコフ発光により、137Cs由来のγ線と90Sr/90Y由来の高エネルギーβ線を飛行時間差分析で識別可能とする新しい直接測定手法を開発しました。開発した測定原理と測定結果例を図1(a)、(b)に示します。LLG両端に設置した光電子増倍管(PMT)の信号を用いてチェレンコフ光を受光し、チェレンコフ光の放射角度の違いに基づく成分比(光がLLGの両端に届いたイベントと片端のみに届いたイベントの比F)を指標として高エネルギーβ線の寄与を抽出します。実際に1F3号機原子炉建屋1階で測定試験を行った様子と結果を図2(a)、(b)に示します。アクリルカバーにてβ線を遮蔽してγ線のみを測定した場合と比較して、アクリルカバーなしの場合は計数率だけではなくF値の明確な上昇が確認されました。このことから、1F原子炉建屋内で初めて90Sr/90Yの「その場直接検知」に成功しました。
本成果はスミア法では定量できない固着性汚染の把握にも有効であり、今後の廃炉現場での迅速な放射性ストロンチウム検知技術としての実用化が期待されます。
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