公開日付: 2025年 11月 7日
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環境モニタリング測定統合マップ

図1 2011年~2022年における1Fから80 km圏内及び福島県全域における空間線量統合マップ
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故後、空間線量率を把握すべく様々な地域で、異なる手法での測定が実施されてきました。手法のうち、上空から測定する航空機サーベイは、全体像を把握できるものの地上1 mの空間線量率の値には若干の不確かさがあることが明らかである一方、地上で測定する歩行サーベイや定点サーベイは、データの精度が高いものの測定地点のみしかデータが存在しないという問題がありました。
Wainwright et al. (2017*1, 2019*2)では、ベイズ地球統計学を用いて、航空機サーベイ、走行サーベイ、歩行サーベイ、定点サーベイといった複数タイプの測定結果を統合する手法が確立されています。
そこで本研究では、その手法を広域に適用できるように拡張し、2011年~2022年を対象に50 m解像度で福島地域の空間線量率統合マップを作成しました。その際、福島県内の避難指示解除区域を考慮しつつ、1Fから80 km圏内及び福島県全域へ適用しました。得られた統合マップはWainwright et al.で見られた森林域の空間線量率の過小評価を修正し、既往の研究に比べ、より広範かつ複数年を対象に再現性の高いマップを作成することができました。
本研究の結果は、一般公衆への詳細な被ばく評価に使われることが期待されます。また、統合マップデータはJAEAのリポジトリで公開しています。(https://doi.org/10.60427/0002000022)
*1 Wainwright, H. et al., A Multiscale Bayesian Data Integration Approach for Mapping Air Dose Rates Around the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Journal of Environmental Radioactivity, vol.167, 2017, p.62–69.
*2 Wainwright, H. et al., Characterizing Regional-Scale Temporal Evolution of Air Dose Rates After the Fukushima Daiichi Nuclear Plant Accident, Journal of Environmental Radioactivity, vol.210, 2019, 105808, 8p.
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