公開日付: 2026年3月11日
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除染の効果をシミュレーションで予測する
-シミュレーションで除染の線量低減効果を見える化!-

図1 除染・耕作による空間線量率の分布変化:(a) 初期分布、(b) 攪拌、(c) 表土削り取り
10 m×10 mの解析領域内で、建物が重なる部分は解析の対象外としています。
東京電力福島第一原子力発電所事故後、汚染地域における空間線量率を正確に把握することは、放射性物質による被ばくリスクを評価し、住民の安全確保や除染計画の立案に役立てるため、重要な課題となっています。しかし、地形や建物、樹木による放射線の散乱・遮蔽や、放射性物質の不均一な沈着により、実際の線量分布を評価することは容易ではありません。原子力機構は他機関とも協力し、空間線量を三次元的に推定できる評価システム3D-ADRES(3D Air Dose Rate Evaluation System)を改良し、地形や建物の影響を反映した線量分布の再現に加えて、除染や耕作といった人為的作業によって変化する放射性物質の分布(線源分布)を考慮したシミュレーションも可能としました。
実際に福島県大熊町の耕作地で解析したところ、除染によりこの地域の空間線量率平均値は、表土削り取りで約79 %、削り取り後に客土を施すと約86 %、攪拌のみでは約33 %の低減でしたが、剥ぎ取りと客土後に攪拌を行うと約83 %まで減少すると推定され、さらに場所による除染効果の違いが明らかになりました(図1(a、b、c))。これにより、3D-ADRESは除染手法の検討や被ばく線量予測、除染計画の立案に有効であることが示されました。
今後は、放射性物質の時間的変化を考慮した動的評価やリアルタイム線量予測への発展が期待されており、得られた結果をもとに実証も行っていく予定です。
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