JAEA R&D Navigator
トップページ >  原子力基礎工学研究 >  放射性廃液中のネプツニウム237を迅速に分析する

公開日付: 2026年9月10日

アクセスカウント:0

categ4

放射性廃液中のネプツニウム237を迅速に分析する
-廃炉作業の効率化や被ばく・汚染リスクの低減につながる自動分析システム-

図1 開発した<sup>237</sup>Np自動分析システムの概念図

図1 開発した237Np自動分析システムの概念図


廃炉作業や放射性廃棄物の処理・処分では、放射性核種を正確に把握することが不可欠です。なかでも、半減期が214万年と長いネプツニウム237(237Np)は、人体や環境へ与える影響が大きく、長期的な安全評価や廃棄物管理において重要な放射性核種です。質量分析法による237Np分析では、大量に存在するウラン(U)が237Npと質量数が近いことで測定を妨害します。このため測定に先立ち、237Npの価数を揃え、固相抽出によりUから分離する必要があります。これらの前処理操作は手作業で行われ、煩雑で時間が掛かる点が課題でした。

そこで本研究では、電解還元による237Npの価数調整、固相抽出による粗分離、誘導結合プラズマ-タンデム四重極質量分析装置(ICP-MS/MS)内でのガス反応による精密分離・測定を連続的に行う自動分析システムを開発しました。これにより、試料を流路内に通すだけで前処理操作を行うことができ、237Npを高選択的に検出することが可能です。

また、237Npの27万倍のUが共存する試料や、JRR-3で発生した金属廃棄物を溶解した放射性廃液を用いた実証試験にも成功しました。分析時間は従来の約4日から25分へ短縮され、検出限界は従来の1/80まで低減し、より微量の237Npの検出が可能になりました。

この研究成果は、被ばく・汚染リスクの低減にもつながり、今後は廃炉現場や放射性廃液の管理を支える実用的な分析技術としての活用が期待されます。

謝辞

本研究は、JSPS科研費(JP24K23110、JP24K20944)の助成を受けたものです。

著者情報
参考文献
Yanagisawa, K. et al., Automated Flow Electrolysis Coupled With Solid-Phase Extraction and ICP-MS/MS for Rapid Determination of Neptunium-237, Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, vol.335, issue 3, 2026, p.2091–2100.
外部論文: https://doi.org/10.1007/s10967-025-10607-z
プレスリリース: 廃棄物管理に重要な放射性核種を"全自動"で"30分以内"に分析—廃炉や放射性廃棄物処分を加速させる分析技術の確立—

このページへのご意見やご感想などありましたらボタンをクリックしてご意見ご感想をお寄せ下さい。

トップへ戻る