はじめに

鈴木理事長

 

独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、原子力のエネルギー利用に係る基幹的分野から、広く科学技術の発展や新たな産業技術の創出を目指した基礎・基盤的分野までの幅広い研究開発を推進する、我が国で唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関であります。今年は発足から7年目を迎え、第二期中期計画の半ばに差しかかったところであります。

2011年3月11日に原子力災害で前例のない東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故が発生しました。原子力機構は、発生直後から事態の状況把握や収束に向け、政府をはじめ関係自治体に対して種々の協力を行ってまいりました。具体的には、原子力安全委員会等へ専門家を派遣し、技術的助言あるいは科学的知見の提供などを行うとともに、文部科学省の指示の下、環境放射線のモニタリングや環境放射能の分析などを行ってまいりました。さらに、環境モニタリング及び除染技術実証等の現地活動、県内関係機関との連携強化のため、理事長を本部長とする組織を立ち上げ、福島県内にその活動拠点を開設しております。今後も、除染活動等による早期の環境回復に向けた取組みに中核となって参加するとともに、損傷燃料や汚染物質の処理など、事故終息に向け必要となる技術の開発や基盤整備に積極的に協力したいと考えております。

主要事業の一つである高速増殖原型炉「もんじゅ」については、福島事故を受け、津波に起因する外部電源喪失事象の影響を再評価するなど、安全対策を再点検しつつ、炉内中継装置の復旧やダクトの修復工事など、当初からの予定にある作業を着実に進めております。また、大強度陽子加速器(J-PARC)をはじめとする量子ビームプラットフォーム施設を基盤とした量子ビーム応用に関する研究開発、幅広いアプローチ(BA)活動の展開も含めた国際熱核融合実験炉(ITER)計画などの核融合エネルギーに関する研究開発、高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る技術開発、という三つの主要事業については、3月11日の東日本大震災により重要な施設の一部が被災しましたが、計画の遂行に向け、鋭意、努力しております。さらに、自らの原子力施設の廃止措置、研究施設等放射性廃棄物の埋設処分事業なども、厳しい予算制約の中、着実な進展を図ってきております。

原子力機構における研究開発の成果に関しましては、国内ばかりでなく国際的にも積極的に発信し活用していくことが重要と考えております。

本誌は、日頃の研究開発で得られた最新のトピックスを皆さまに広くご紹介するために、原子力機構の発足から毎年作成しているものです。多くの皆さまに原子力機構の活動について一層のご理解をいただくとともに、今後の展開にご期待いただくための一助となることを願っております。

日頃より、ご支援をいただいている皆さま方には、この場をおかりして感謝申し上げますとともに、今後とも私どもの研究開発活動につきまして、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

2011年12月

独立行政法人

日本原子力研究開発機構

理事長

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