パラ水素とオルソ水素

二原子分子である水素は2個の陽子を持っている。陽子はスピン自由度をもっているため、その向きが同一のものをオルソ水素、反対のものをパラ水素と呼んでいる。常温で平衡状態にある水素は、パラ水素が25%、オルソ水素が75%の割合で存在している。平衡状態のパラ水素とオルソ水素の存在割合は温度のみの関数で表され、液体水素の沸点(20 K)では、99.79%のパラ水素となる。しかし、オルソ水素からパラ水素への転換の時定数は数日程度かかり、その際に液体水素の蒸発潜熱(446 J/g)より大きいエネルギー(523 J/g)を放出するため、水素を液化する際は、酸化鉄や酸化クロム等のオルソ・パラ転換用触媒を使用する。(5-14 極低温水素減速材で高品位のパルス冷中性子を実現)


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