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自発電流は、閉じ込められたトカマクプラズマ中に自然に生ずる電流で(図2-3)、電磁誘導(トランス方式)によらずにプラズマ電流を流せるので、トカマクの高効率の連続(定常)運転に極めて好都合です。この電流は、その成因から凹状の分布をもち、プラズマ内部に負磁気シアの領域をつくります。この領域ではプラズマの熱や粒子の損失を妨げる断熱層(内部輸送障壁)が形成され、閉じ込めが著しく改善されることはすでにJT-60で実証されています。
大きな自発電流を定常に維持して高性能トカマクプラズマの連続運転を実現するには、複雑に絡みあったプラズマの圧力と自発電流の大きさや分布及び断熱層の形成やその位置などを適切に制御する必要があります。JT-60の最近の実験では、プラズマ断面の形を三角形に近くして安定性を向上させ、大きな自発電流の発生・維持に必要な高いプラズマ圧力を保持するため蓄積エネルギー帰還制御を採用し、さらに初期の凹状電流分布を得るためのプラズマ電流立上げ制御などの工夫を重ねてきました。その結果、トランスの原理によらずに全プラズマ電流を約80%の自発電流と約20%の中性粒子ビーム駆動電流により得るとともに、これを2.7秒間ほぼ定常に維持することに成功しました。負磁気シア領域はプラズマ断面の60〜70%に及び、このため標準閉じ込めの3.6倍に達する高い閉じ込め性能が得られました(図2-4)。この成果はITERなどトカマク炉の連続運転法開発の第一歩となるものです。 |
参考文献
T. Fujita et al., Recent Progress Towards Steady State Tokamak Operation with Improved Confinement in JT-60U, J. Plasma Fusion Res. Ser., 3, 87 (2000). |
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