2.3 プラズマ閉じ込め性能をレーダーで測る


拡大図(63KB)

図2-5 乱れの相関の測定結果と理論計算の対応

断熱層が形成される閉込めで密度の乱れの相関を始めて測定しました。図中(a)、(b)は測定から予想される乱れの渦の大きさで、図左に示す理論計算結果によるものとほぼ一致します。

 


 プラズマの内部に断熱層(内部輸送障壁)が形成され、優れた閉じ込め性能を示す負磁気シア磁場による閉じ込めは、将来の定常トカマク炉の運転方式の有望な候補としてJT-60の研究の中心の一つです。とくに熱や粒子の損失過程を支配する密度や温度などの乱れ(渦)の大きさと断熱層の形成過程やその特性の関係を実験的に明らかにすることが重要課題です。
JT-60では相関反射計というレーダ技術を応用した計測器を新設して、密度の乱れの渦の大きさ(相関の長さ)を始めて測定しました。反射計は4チャネルの異なった周波数で、その内2つは周波数可変のミリ波を用い、空間4点の同時測定が可能です。一回の放電中に2つのミリ波の周波数を次々と変えて固定周波数のチャネルとの相関を調べ、プラズマ半径方向の密度の乱れの相関の長さを求めることができます。図2-5に結果を示します。図2-5で測定点が短い距離内に局在している場合が断熱層の領域内部での乱れの相関(乱れの渦の広がり方)を示しており、相関の長さが短く粒子や熱の損失が小さく閉じ込めが良い場合に対応します。これは乱れの渦が小さいほど閉じ込めが改善されるという理論的予測と定性的に一致するものであり、今後詳細な研究を進める予定です。


参考文献

Y. Shinohara, Core Correlation Reflectometer at the JT-60U Tokamak, Rev. Sci. Instrum., 70(11), 4246 (1999).

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