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トカマクの高性能プラズマの定常閉じ込め(連続運転)を実現するためには、ヘリウム灰や不純物粒子の排出制御及びプラズマの排熱処理などをダイバータによって効率よく行う必要があります。そのためにはダイバータ領域の低温・高密度のプラズマ中で生ずる原子・分子の複雑な運動や反応を含むリサイクリング過程や発光・放射などのミクロな物理過程を十分把握することが重要です。
JT-60では高い波長分解能(波長/波長変化幅〜120,000、通常の分光器の約50倍)と高い空間分解能(10 mm)を備えた分光器を開発し、ダイバータ領域での重水素原子・分子の発光スペクトル線の構造や空間変化、放射過程などについて精密な測定を行い、計算機シミュレーションとの比較検討から、温度数十万度以下のダイバータプラズマ中の原子・分子の振る舞いを詳しく調べています(図2-6)。ダイバータ板近傍での重水素原子のスペクトルDα線のプロファイルの測定結果とモデル計算の結果を図2-7に示します。両者は良く一致しており、シミュレーションの結果からこのスペクトル線の成分が、重水素分子や分子イオンが解離してできた原子の電子との衝突励起などによる成分、およびダイバータ板・第一壁表面から反射された原子や重水素イオンとの荷電交換で生じた原子の励起によるスペクトル成分とから成ることが、その比率とともに推定できます。このような解析を通して、ダイバータプラズマ中の粒子のリサイクリングでは、分子の役割が重要であることが明らかにされています。 |
参考文献
H. Kubo et al., Spectroscopic Study of JT-60U Divertor Plasma, NIFS Proc., 44, 65 (2000). |
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