4.8 超臨界CO2で廃棄物中の混入ウランを除去
 


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図4-16  超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法による廃棄物に混入したウランの除去

反応容器(50〜60℃、100〜200気圧)中で、ウラン廃棄物中のウランは反応剤(硝酸-TBP錯体)と反応してTBP錯体を生成し、超臨界状態のCO2中に溶け出します。回収容器(常温、常圧)中で、CO2は気化しウラン-TBP錯体が回収されます。ウラン酸化物(100〜200 mg)と砂(50 g)の混合物から、ウランを効率よく除去できました(写真)。



ウランが混入した固体廃棄物(通称“ウラン廃棄物”)からウランを除去するには、ウランを硝酸に溶かす化学的方法などがありますが、従来の処理方法では十分な除去が困難であったり、多量の二次廃棄物が発生するなどの問題がありました。これらの課題を克服する画期的な方法として、私たちはCO2(二酸化炭素)を超臨界状態(高密度のCO2で気体とも液体ともつかぬ流体の状態)で用いる超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法を開発しました(図4-16)。
SFL装置の反応容器にウラン廃棄物を採りこれにCO2ガスを圧入した後、容器内を50〜60℃、100〜200気圧に保ちます。このときCO2は超臨界状態となり、物質を溶解する性質を持つようになります。超臨界状態のCO2中に少量の硝酸-トリブチルリン酸(TBP)錯体を添加することによって、廃棄物中のウランをTBP錯体に変換してCO2中に溶かし出します。反応後、CO2を常温、常圧の回収容器に導き、CO2ガスとして気化させてウラン-TBP錯体を回収します。模擬ウラン廃棄物(ウラン酸化物と砂の混合物)を用いて、廃棄物中のウランを1/300から1/10000まで効率よく除去できることを確かめました。
CO2や反応剤は容易に回収して再利用できるので、二次廃棄物は発生しません。またウランを取り除いた後の廃棄物は、水分や試薬を含まないので、簡単に処分することができます。



参考文献
O. Tomioka et al., New Method for the Removal of Uranium from Solid Wastes with Supercritical CO2 Medium Containing NHO3-TBP Complex, J. Nucl. Sci. Technol., 38 (6), 461 (2001).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果 2001
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